日本のM&Aはどのように活性化し、どのような影響をもたらしてきたのか。前回に続き、早稲田大学商学部 宮島英昭教授に「外国企業による日本企業へのM&A」について伺った。

潮目が変わった日本のM&A 外国企業による日本企業へのM&A市場(中)

目立ってきた「OUT-IN」の攻勢

――次に、海外企業が国内企業にM&Aを仕掛ける「OUT-IN」の状況はどうでしょうか?

 これは動きとしてはかなり目立っていますね。最近では2016年2月の中国の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ<6753>の買収があったり、米国のファンドであるKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)がパイオニア<6773>や日立工機<6581>の事業・組織再編に伴う事業の買い手になっていたりします。中国インターネットサービス大手のテンセントがソフトバンクグループ<9984>の孫会社であるスーパーセルの買い手になっているといったことも挙げられますね。

 こうした海外の事業法人、あるいはプライベートエクイティ(PE;成長・成熟期の企業に対して比較的大規模な資金を提供、または株主に売却機会を提供する組織)が買い手になって、日本企業の事業再組織化の案件で活躍することが目立ってきたということです。それが最近見られる大きな特徴です。

早稲田大学商学学術院教授 早稲田大学高等研究所 所長 宮島英昭氏

――そうした動きのなかで、特徴的・象徴的な案件を1つ教えてください

 パナソニック<6752>がパナホームを完全子会社化する際に、香港のヘッジファンドのオアシス・マネジメントが強硬に反対するようなケースが象徴的でしたね。これは対抗的アクティビストファンドといってもいいかもしれません。

 ご存じのとおりパナホームは上場企業でしたが、パナソニックが完全子会社化するときに、最初は株式交換によると発表していました。ところがその手法と交換比率に、ヘッジファンドのオアシスが異を唱えました。少数株主に不利すぎるという理由です。

 最終的にTOB株式公開買付け)となり、977円の株価が1200円のTOB価格となりました。このケースでは(細かな計算によって変わってくるとは思いますが)買収プレミアムがおよそ3割程度上がり、パナホームのM&Aに要する資金に大きな影響を与えたわけです。