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【石油業界とM&A】欧米メジャーの日本市場撤退が意味するものとは

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東京理科大学大学院イノベーション研究科教授 橘川武郎氏

激動のエネルギー業界とM&A(石油業界編・前編)

1.合併の組み合わせが意味するものとは

過去に何度も再編を繰り返してきた石油元売り業界だが、今回の元売り大手の再編は「欧米メジャーの日本市場からの撤退がきっかけ」だと、エネルギー産業史研究の第一人者である 東京理科大学大学院イノベーション研究科 橘川武郎教授は指摘する。

前回の記事はこちら 激動のエネルギー業界とM&A(石油業界編・前編)

“「JXホールディングスと東燃ゼネラル石油(現JXTG)」、「昭和シェル石油と出光興産」という組み合わせになったのは、外資である限り外に出ていけないことが最大の理由だ。
「外資」と言うと“国際的”で英語が話せる人がたくさんいるというイメージを持つと思うが、外資の親会社がいるということは、日本の子会社はフランチャイズのようなもの。「君らは日本の事業をやりなさい(他国は他の子会社がやりますよ)」という契約縛りがある。昭和シェルと東燃ゼネラルは明らかに企業文化が近いのだが、この2社が一緒になれないのは両社が外資だからだ。
石油業界の面白いところは、外資系企業は日本国内の事業しかできず、日本企業は海外の仕事ができる、という逆転現象がある点だ。欧米メジャーの資本が抜けたことで、活動エリアの制限が青天井に抜けると言うのが、(外資の親会社を持つ)昭和シェルと東燃ゼネラルがそれぞれこの合併に応じた最大の理由だ。(以上、橘川教授)“

しかし今回の再編は、どうやら政府が描く「総合エネルギー産業への転換」というシナリオ通りには進んでいないようだ。

表1:石油企業の分類

大手国際石油資本(メジャー) エクソンモービル(米)、ロイヤル・ダッチ・シェル(英蘭)、BP(英)、シェブロン(米) 上流部門(開発・生産)から下流部門(精製・販売)まで垂直統合展開している
産油国の国営石油会社 サウジアラムコ(サウジアラビア)、NIOC(イラン)、PDV(ベネズエラ)、ロスネフチ(ロシア)、ガスプロム(ロシア)など 上流部門の採鉱、採掘が中心
非産油国・石油輸入国国策石油企業(ナショナル・フラッグ・オイル・カンパニー) Total(仏)、Eni(伊)、CNPC(中)、Sinopec(中)、EGPC(エジプト)、Repsol(スペイン) 産油国から国を代表する石油開発企業として認識されている企業を指す。国営企業だけでなく純粋民間企業の場合も含める

M&A Online編集部作成

民間主導の再編

経済産業省はエネルギー供給高度化法に基づく1次告示で、石油精製各社に対して残油処理装置の装備率の基準目標を引き上げた。「これが製油所の設備廃棄やリストラを目的とした業界再編を目指していると世間がとらえた原因ではないか」と橘川教授は話す。

石炭が主力エネルギー源だった1960年頃、かつての石炭業界も今の石油業界と同様に内需の減少で再編の必要性があった。企業は政府に助けを求め、産業保護政策を行ったが、日本の石炭産業は大きく衰退してしまったという苦い歴史がある。

“石炭業界の成功事例では、韓国石炭企業のサムタンが参考になるだろう。サムタンもかつては日本と同じように国内炭で稼いでいたが、石炭が国内で採掘できなくなり、石油に勝てなくなっていった。サムタンはまだ手元にお金があるうちに海外に打って出て、石炭のマイニング(採掘)事業者として生き残ろうと考えた。
インドネシアの企業と合弁会社を設立し、現在は「キデコ・ジャヤ・アグン社」というインドネシアで3番目の石炭会社として生き残っている。日本は財閥系グループが雇用の受け皿となったことで、人は助かったが、石炭業界は衰退してしまった。内需が減り勢いが衰えてきた時に需要のある海外市場に進出しようと考えるのは、企業として当然の経営判断だろう。(橘川教授)”

国内の石油業界は、それぞれの企業が将来を見据えて提携や合併を模索しており、橘川教授の言葉を借りれば、「まさに今、(石炭業界の二の舞にならないかの)分岐点にきている」のだ。

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