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ブランドビジネスのABC 業界35年の“大御所”に聞く(上)

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櫻庭氏は「ブランドビジネス成功の秘訣はパッションやカルチャーへの愛着」と語る。

ライセンスブランドを成功に導くには

 2016年は三陽商会の「バーバリー」、山崎製パン子会社、ヤマザキ・ナビスコの「リッツ」「オレオ」のライセンス契約が終了になり話題になった。三陽商会は基幹ブランドを失ったことで、16年12月期は大幅な赤字決算を余儀なくされる見通しだ。消費者に人気のある海外ブランドを日本で展開すれば有力なビジネスになる反面、それを失えば突然の業績悪化に見舞われるリスクもある。ライセンスによるブランドビジネスの基本的な仕組みやリスクとは。フランスのハイファッションブランド、シャルル・ジョルダングループや、イタリアのコーヒーブランド「セガフレード・ザネッティ」の日本への参入を手掛けた櫻庭充氏に聞いた。

ライセンスによるブランドビジネスの先駆けはピエール・カルダン氏

――ライセンスによるブランドビジネスとはどんなものか。

 「ライセンス契約にはいろんな種類がある。本来の意味はノウハウ・アグリーメント(知的財産契約)。ノウハウといってもすごく幅があり、製造ノウハウ、商標から宇宙開発まで含まれる。このうちファッションや食品などのライフスタイルに関わるブランドビジネスは、ブランド使用権を有したライセンス契約と言える」

 「総体としてブランドライセンス契約は、そのブランドの付加価値(VALUE-ADDED)が重要。ソフトな商品であるファッションブランドの場合は信頼性と好感度であり、工業製品などのハードな商品の場合は固有の技術力といえる。全てのブランドホルダーは、付加価値を少しでも高める努力を様々な方法を駆使して行っている。付加価値を高めるためには、相応の投資が必要なのだ

――ブランドの使用権を与える企業はライセンサー、ブランドの使用権を受ける企業はライセンシーと呼ばれる。

 「ライセンサーは明確な契約内容に基づきブランドを供与し、製品を製造・販売する権利を与え、ライセンシーはその対価としてロイヤリティーをライセンサーに支払う。ブランドビジネスが生まれ始めた1960~70年代はライセンサーとライセンシーがともに製造・販売部門を持つなど同様の企業形態であることが多かった。ロイヤリティービジネス以外に、ライセンサーの自社工場で天災や事故などの不具合が発生した場合、ライセンシーが製造した商品を市場に一時的に供給できるというリスクヘッジの考えが、ライセンサー側にあった事も考えられる

――ライセンスによるブランドビジネスの先駆けと言えるのがフランスのピエール・カルダン氏だ。

 「カルダン氏はファッション業界でブランドの世界戦略を打ち立てた初めてのデザイナーであり、企業家だ。1960年代からライセンスビジネスを始め、1970~80年代になるとほとんどの有名ファッションブランドが追随するようになった」

90年代以降、製造部門とマーケティングの分離が進む

――ところが1990年代に入るとブランドビジネスの様相が変わり始めた。

 「80年代のファッション・ハウス(ファッション企業)は中小企業が大半を占めていた。しかし90年代に入ると投資家が登場して複数のブランドをグループ化し、効率と規模の経済を求めていくようになり、ファッション業界においてもコングロマリット企業が出現した。ライセンサーはマーケティングを主とする会社が多くなり、それらの会社は必ずしも自前で製造部門を持たないようになった。2000年代初めまでこの傾向は続き、ブランドビジネスの第2ステージと位置づけられる。現在は第3ステージ。自社でコントロールした商品を世界中に売りたいと考える企業が増えた」

近年、ブランド企業は自社工場を持つことが少なくなり、協力関係のある下請け工場に製造を依頼。直営店を運営するなど小売りに力を入れるようになってきた。

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