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法律・マネー

年金とM&A(2)円滑な制度引き継ぎ 買収後の企業価値を左右

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M&Aにおける年金問題に詳しいマーシュアンドマクレナンカンパーニーズの関根賢二氏のインタビューの第2回。関根氏はM&Aの前後で年金制度を円滑に引き継げるかどうかが「買収後の企業価値を左右する」と説く。

特にグループ企業内の会社がグループ外に譲渡されるようなケースでは、財務諸表のみからでは読み取れない債務が存在する可能性もあるので注意が必要だ。(M&A Onlineの記事はこちら

M&Aの形態で年金の引き継ぎ方異なる

――働いている会社がM&Aの対象になったら「年金はどうなるのか」と不安に思う人は多いでしょう。実際はどのようなケースがあるのでしょうか。

「M&Aの形態によって取扱いは異なる。例えば、事業譲渡の場合、従業員は退職してから再雇用となるので、移籍時点で新しい雇用条件を提示してもらうことになる。これは転籍と同じく個別同意が必要となるため、補てん策なども考慮して、従業員から同意を得られる場合は、退職金や年金を清算して、新しい会社の年金制度に新たに加入することもできる」

「一方で会社分割の場合、会社分割の対象となった従業員に関しては、分割の前後で労働条件は変更できないという法律がある。そのため、原則として、分割前の年金制度をそのまま引き継ぐことになる。何らかの理由で引き継げない時には、分割元の会社にお願いして、例えば1年間、分割元の年金制度に継続的に加入し続けさせてもらうこともある。その後、従業員の同意をとるなどの必要な手続きを経て、分割元の年金制度をから新しい年金制度へ移行することが多い」

「なお、このように、経過的に継続加入し続ける場合には、その間の費用や資産運用リスクを売り手と買い手でどのように負担するか、もし、一年後に年金制度の分割を行う場合には、その時点での年金資産をどのように分割するのか、などを買収契約書に明記しておかなければならない。そうしないと、一年後になって、買い手と売り手が争うことになりかねない」

年金制度変更には法規制に基づいた丁寧な説明 必要

――従業員への対応で気をつけるべきことはありますか。

「M&Aを成功に導くためには、適正な価格で買収した後で、その企業価値を向上させなくてはいけない。俗にいうシナジーの創造だ。そのためには、今まで以上に、従業員にやる気をもって働いてもらわなくてはならない。年金は、従業員にとっての重要な雇用条件の一つであることに加え、給与やボーナスに比べわかりにくい。そのため、変更等を行う場合には、労働組合や従業員向けに説明会を開いて年金制度がどうなるのか丁寧に説明していく必要がある。」

「特に、年金が増える分には問題がないが、減額する場合には留意が必要だ。というのは、給付減額にあたっては、給付減額に該当する従業員の3分の2以上の同意が必要など、いくつかの重要な法規制が存在するからだ。」

――年金が減額になると生活への影響も大きくなります。従業員はどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。

「年金に限ったことではないが、M&Aの前後で自分の雇用条件がどう変更になるのかをしっかりと理解する必要がある。事業譲渡の場合には、新たな雇用条件に納得してサインする、会社分割株式譲渡の場合には、原則、雇用条件が変更されていない、ということを確認することになる」

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