大型のMBO(経営陣による買収)を発表したのはトヨタ自動車販売店を運営するATグループ。創業家出身の山口真史社長が設立した買収目的会社がTOB(株式公開買い付け)を行い、完全子会社化する。買付代金は最大828億円で、投資ファンドが関与しないMBOとして過去最大となる。国内自動車市場の縮小やトヨタ自動車による「全車種併売化」のスタートを受け、傘下の4販売会社の統合などの経営改革を迅速に進めるには株式の非公開化が必要と判断した...
鳴り物入りの大型M&Aがご破算となるケースが相次いでいる。ソフトバンクグループが英半導体設計子会社アームの4.2兆円売却を断念したのに続き、国内ではフィデアホールディングスと東北銀行の経営統合が白紙に戻った。
2021年11月のM&A件数は前年同月を4件下回る77件だった。前年同月比マイナスは3カ月ぶりだが、11月として過去10年で2019年(86件)、20年(81件)に続く高水準を維持。クボタはインドのトラクター大手を1406億円で買収する。
2021年上期(1~6月)のM&A件数を業種別にみると、サービス業が6年連続で増加するとともに、製造業や情報通信業を抑え、2年連続で件数トップに立った。前年に後退が顕著だった製造業は持ち直し傾向にある。
コロナ禍は収束の兆しが見えない状況にあるが、世界経済は改善に向けて歩みを強めている。こうした中、日本のM&A市場はどう動くのか。2021年の見どころなどを、シティグループ証券M&A本部マネジングディレクターの中塚健介さんに聞いた。