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都道府県別のM&Aランキングは?|福岡、北海道がトップ10入り
M&Aの分野でも「東京一極集中」が際立っている。東京都は2位の大阪府を6倍近く引き離して断トツだ。これに続いて3大都市圏近郊の府県が上位に顔をそろえるが、福岡県、北海道の地方の両雄がそろって上位10にラインクインする。
2020年のM&A戦線では「業種」に異変が起きた。件数トップを走り続けていた製造業がその座を明け渡したのだ。M&Aの対象となった業種(買い手、売り手の業種とは関係ない)を集計したところ、サービス業が製造業と入れ替わって首位に立った。
上場企業に義務づけられた適時開示情報のうち、経営権が異動するM&A(グループ内再編は除く)をもとにM&A Online編集部が調べた。2020年のM&A件数は前年比4件減の849件で、新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況下ながら、過去10年間では2019年に次ぐ高水準となった。
業種別では例年、製造業、サービス業、情報通信業、商業が「4強」。製造業は2014年から年間200件台で推移してきたが、2020年は174件にとどまり、前年(216件)から40件以上減少した。製造業は件数首位の座から過去10年間で初めて転落し、3位の情報通信業との差もわずか5件となった。
米中貿易摩擦の長期化に加え、新型コロナ感染拡大で生産活動が低下したことなどから、製造業を対象としたM&Aが盛り上がりを欠いたとみられる。製造業をさらに細かくみると、化学(前年24件→14件)、機械(同24件→14件)、その他製品(同43件→23件)がほぼ半減した。
首位に躍り出たサービス業のM&Aは223件で、前年を24件上回った。個別には人材サービスが27件、教育・コンサルタントが25件とそれぞれ前年比1.7倍に増えた。
情報通信業は169件と前年(160件)並みだが、その大部分を占めるIT・ソフトウエアは152件と前年(143件)を9件上回り、過去最多を更新した。組織の生産性向上やビジネスモデルの変革を促すDX(デジタルトランスフォーメーション)化が流れとなる中、買収ニーズが膨らんだ形だ。
4強の一角、商業は140件と前年の146件から件数を落とした。なかでも外食・フードサービスのM&Aは前年の30件から18件にダウンし、新型コロナ禍の影響がうかがえる。
◎M&A:業種別の件数推移(M&Aの対象となった業種を集計)
2016年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | |
水産農林 | 3 | 3 | 5 | 4 | 4 |
鉱業 | 0 | 2 | 0 | 1 | 1 |
建設 | 22 | 27 | 31 | 28 | 31 |
製造業 | 221 | 218 | 203 | 216 | 174 |
電気・ガス | 5 | 8 | 9 | 9 | 16 |
運輸 | 7 | 18 | 10 | 19 | 19 |
情報通信 | 96 | 119 | 140 | 160 | 169 |
商業 | 115 | 131 | 116 | 146 | 140 |
金融 | 29 | 27 | 31 | 31 | 33 |
不動産・住宅 | 23 | 23 | 21 | 35 | 35 |
サービス | 156 | 163 | 202 | 199 | 223 |
その他 | 29 | 17 | 17 | 5 | 4 |
合計 | 706 | 756 | 785 | 853 | 849 |
文:M&A Online編集部
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M&Aの分野でも「東京一極集中」が際立っている。東京都は2位の大阪府を6倍近く引き離して断トツだ。これに続いて3大都市圏近郊の府県が上位に顔をそろえるが、福岡県、北海道の地方の両雄がそろって上位10にラインクインする。