コロナ禍は収束の兆しが見えない状況にあるが、世界経済は大底を脱し、改善に向けて歩みを強めている。こうした中、日本のM&A市場はどう動くのか。2021年の見どころや今後の潮流などを、シティグループ証券M&A本部マネジングディレクターの中塚健介さんに聞いた。
-新型コロナウイルス感染拡大の収束が世界的に見通せない状況にあります。M&Aに関して海外と日本にトレンドの違いなどはありますか...
2021年第1四半期(1-3月期)の日本関連M&A公表案件は4兆円と2018年以降の減少傾向からプラスに転じた。全体の案件数は1033件と、1-3月期ベースで1000件を突破するのは1980年の集計開始以来、3度目となった。
2020年12月のM&Aは前年同月と同数の78件となり、過去10年で最多だった2019年に並んだ。取引金額10億円超のM&Aは19件と2月23件、11月21件に続く年間3番目で、ここへきて「コロナ」以前の月間20件前後のペースに戻した形だ。
2020年9月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比8件減の61件だった。前年を下回るのは2カ月連続。前月比では7件減った。新型コロナの状況下、1~9月の累計件数では前年と同水準を維持しているものの、足元では一服感が広がってきた形だ。