日本M&Aレビュー 2021年第3四半期|フィナンシャル・アドバイザー
日本M&A案件情報概要
2021年第3四半期(1-9月期)の日本関連M&A公表案件は16.7兆円と、前年同期から22.6%減少となったものの、1-9月ベースで見ると歴代3位の高水準となった。1,000億円超の案件は総額11.1兆円と、前年同期比では29.9%減少した。全体の案件数は3,507件に達し1-9月期で過去最多となった。
業種別で見ると、最も買収の対象となったのはハイテクノロジーで、前年同期から7,115.8%増加の4.4兆円、全体の26.5%を占め日本市場を牽引した。2位は金融で前年同期比30,796.5%増加の3.7兆円、3位は工業2.1兆円となった。
マーケット別で見ると、OUTーIN案件は総額1.7兆円と、前年同期比では184.9%増加し、2017年以来の高水準となった。とりわけ海外ファンドによる買収は活発で、金額では前年同期の2倍となる9,546億円に達し、1-9月期で歴代2位の高水準となった。また、ファンドが関与した案件数は前年同期から9件増加の51件と1-9月期で過去最多となった。これには、ベインキャピタル、日本産業パートナーズ及びジャパン・インダストリアル・ソリューションズが設立したKK-BCJ-52による日立金属買収案件(4,347億円)や、9月30日に公表された Apollo Global Managementが保有する投資会社のSPC、White Japan Acquisitionによる三菱ケミカル買収案件(850億円)が含まれる。
IN-OUT案件は、総額6.6兆円と前年同期比16.6%の増加となった。対英関連では、日立製作所による2,147億円のタレスの鉄道信号事業買収案件が発表され、1-9月期の英国に対する出資は前年同期比1,027%増加の総額9,576.5億円に上った。また、三井住友FGによるフラートン・インディア・クレジット・カンパニー 出資案件(2,219億円)が発表され、これは金融関連のインド出資案件としては過去最大となった。これにより、1-9月期の対印出資総額は4,392億円となり前年同期から75.8%の増加となった。グローバルで見ると、海外企業の買収が最も活発だったのは米国で、総額64.9兆円と前年同期から198.8%の増加、日本は6.6兆円で7位、中国は3.3兆円で12位となった。
国内案件は4.9兆円、前年同期比では50.7%の減少となり、2019年以来の低水準となった。一方、案件数は2,703件と1-9月期で初の2,700件突破となった。
完了案件は、17.1兆円と前年同期比で10.3%低下した。案件数ベースでは、2,693件と前年同期から4.7%の増加となった。
順位 | ランク日 | 被買収側企業 | 被国籍 | ランクバリュー(億円) | 買収側企業 | 買国籍 |
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1 | 2021年3月31日 | グローバルロジック ワールドワイド ホールディングス | 米国 | 10,592.6 | 日立 グローバルデジタル ホールディングス | 日本 |
2 | 2021年9月21日 | MUFGユニオンバンク | 米国 | 10,501.4 | MUFGユニオンバンク | 米国 |
3 | 2021年9月21日 | MUFGユニオンバンク | 米国 | 8,719.2 | USバンコープ | 米国 |
4 | 2021年4月23日 | ブルーヨンダー・グループ | 米国 | 7,665.2 | パナソニック | 日本 |
5 | 2021年2月7日 | ダイアログ・セミコンダクター | 英国 | 5,980.0 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 |
6 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,780.2 | 日立金属 | 日本 |
7 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,347.7 | BCJ-52 | 米国 |
8 | 2021年3月31日 | テスラ | 米国 | 4,000.0 | (非開示の買い手) | 不明 |
9 | 2021年5月19日 | SBエナジー・ホールディングス | インド | 3,810.8 | アダニ・グリーン・エナジー | インド |
10 | 2021年5月14日 | かんぽ生命保険 | 日本 | 3,585.3 | かんぽ生命保険 | 日本 |
出典:Refinitiv(リフィニティブ)
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本記事は、Refinitiv 日本M&A フィナンシャル・アドバイザリー・レビュー より許可をいただいて一部掲載しています。