2020年第4四半期・年間 TOBプレミアム分析レポート

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1.2020年第4四半期・TOB総評

件数
2020年第4四半期のTOB(株式公開買い付け)件数は、届出ベースで前年同期比7件(41.1%)増の24件だった。届出ベースでの増加は2年連続。2020年通年(1-12月)に占める第4四半期の件数シェアは完了・届出ベースともに40.0%で、完了ベースで前年同期比5.9ポイント増、届出ベースでも同3.1ポイント増と、完了・届出ともに前年を上回った。四半期としては2010年以降の11年間で2013年第1四半期の27件に次ぐ高水準となっている。(図表1)

金額

買付総額は完了ベースで約5156億円と、前年同期の約6038億円を14.6%下回った。件数の大幅増に加えて、100億円を超える案件が同1件増の6件、うち1000億円超の大型案件が同1件増の3件と前年同期を上回っている。それにもかかわらず買付総額が伸びなかったのは、小口案件が多かったから。平均買付総額は214億円と前年同期の431億円を50.3%下回っている。

MBO案件
MBO案件は届出ベースで3件。前年同期を1件上回った。同四半期のTOB全体に占める割合は12.5%(前年同期比0.8ポイント増)だった。2020年通年では第1四半期の5件に次ぐ水準だった。

プレミアム
総プレミアム平均は33.49%(同0.78ポイント減)。ディスカウントを除くポジティブプレミアムも33.49%(同6.87ポイント減)。ディスカウントTOBは0件と、前年同期よりも5件減少した。

2.2020年通年・TOB総評

件数
2020年通年(1-12月)の累計件数は完了・届出ベースともに60件と、完了ベースで19件(同46.3%増)、届出ベースでは同14件(同30.4%増)ほど前年を上回っている。2010年以降では同年の59件を上回る最高の件数となった。(図表1)

金額
買付総額は約6兆4338億円と、前年(1兆7073億円)の約3.7倍と急増。2011年以降では最高額となる。買付金額のトップはNTTによるNTTドコモに対する完全子会社化を目的としたTOBの約3兆1780億円。国内TOBとしては初の1兆円超えとなった。このほか昭和電工による日立化成のTOB(8445億円)や、日立製作所による日立ハイテクのTOB(4271億円)など、歴代トップ3となる超大型案件が続出し、買付総額を押し上げた。前年トップはソフトバンクグループ子会社のZホールディングスによるZOZOに対するTOBの4007億円。ソフトバンクグループの3年連続トップはNTTに阻まれた。図表3

MBO案件
MBO(経営陣による企業買収)案件は前年比5件増(83.3%増)の11件と、2年連続の増加。10件を超えたのは2011年(21件)以来、9年ぶり。金額が一番高かったMBOは総合メディカルホールディングスの約692億円、次いでニチイ学館の約625億円、豆蔵ホールディングスの約305億円の順。図表5

プレミアム
総プレミアム平均は32.81%、ポジティブプレミアム平均は36.12%。最も高いプレミアムがついたのは三菱ガス化学による日本ユピカに対するTOBの117.86%。2年ぶりの100%超え案件となった。前年トップはNTTデータによるネットイヤーグループに対するTOBの98.60%だったので、2020年の最高プレミアムは前年を19.26ポイント上回っている。(図表8)

2020年のTOB全ディールの詳細はこちら 『M&A年鑑2021』

3.TOB件数の推移

図表1 .TOB件数の推移(届出ベース)

1.TOB件数の推移(届出ベース)
M&A Online編集部作成

図表2.TOB件数の推移と成否(完了ベース)

2.TOB件数の推移と成否(完了ベース)
M&A Online編集部作成

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出光興産は16日、上場子会社の東亜石油の完全子会社を目指して実施したTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わったと発表した。こうしたTOBの不成立はこの1カ月間で3件目というハイペースだ。