ATグループは4日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。現社長で創業家出身の山口真史氏が設立した「日の出」(名古屋市)がTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化する。買付代金は最大828億円で、投資ファンドが関与しないMBOとして過去最大となる。ATグループはトヨタ車を販売する最有力ディーラー。国内自動車市場の縮小やトヨタ自動車による「全車種併売化」のスタートを受け、傘下の4販売会社統合などの経営改革を迅速に進めるには非公開化が必要と判断した。MBOが成立すれば、名証2部への上場は廃止となる。
買付価格は1株につき2800円で、TOB公表前日の終値1605円に74.45%のプレミアムを加えた。買付予定数は山口社長と同氏の関係会社が保有する株式11.89%分を除く2959万652株。下限は所有割合54.77%にあたる1839万5528株に設定した。買付期間は2月7日~3月23日。決済の開始日は3月30日。公開買付代理人は三菱UFJモルガン・スタンレー証券(復代理人はauカブコム証券)。
今回の買付資金は三菱UFJ銀行からの借り入れで賄う予定。
ATグループは1935年にトヨタ自動車の販売店第1号となり、トヨタの第1号車「G1型トラック」を販売した日の出モータースを前身とする。1948年に愛知トヨタ自動車に社名変更し、1961年に名証2部に上場。2007年に持ち株会社制に移行し、現社名となり、愛知トヨタ自動車、トヨタカローラ愛豊、ネッツトヨタ愛知、ネッツトヨタ東海の4系列販売会社を傘下に置く。