日本M&Aレビュー 2021年 上半期|フィナンシャル・アドバイザー
2021年上半期(1-6月期)の日本関連M&A公表案件は10.1兆円と、前年同期から40.5%増加し、1-6月期ベースでは1980年の集計開始以来3度目の10兆円超えとなった。1,000億円超の案件は21件、金額ベースでは総額7兆円に上り、前年同期から230%、案件数ベースでは200%増加となった。一方、全体の案件数は2,251件と、前年同期比では5.9%減少となった。
業種別で見ると、最も買収の対象となったのはハイテクノロジーで、前年同期から約2倍の3.7兆円、全体の36.4%を占め日本市場を牽引した。2位は工業で1.2兆円、3位は原料、材料となった。
マーケット別で見ると、最も活発だったのはIN-OUT案件で、前年同期比123.3%増となる3.8兆円と、2019年以降で最高水準となった。これには2021年上半期のトップ案件となる、日立グローバルデジタルホールディングスによるグローバルロジック ワールドワイドホールディングスの買収(1兆592億円)、4-6月期ではパナソニックによるブルーヨンダー買収案件(7,655億円)、ソフトバンクによるオートストア買収案件(3,099億円)が含まれる。また海外企業の買収が最も活発だったのは米国で、総額35.8兆円と前年同期から218.3%の増加、日本は3.8兆円で5位、中国は2.3兆円で7位となった。
OUTーIN案件は、9,123億円と前年から212.6%増加し、2007年上半期以来の高水準となった。最もアクティブだったのは米企業による買収で、総額は5,052億円となった。海外企業による日本企業の買収は過半数(55.4%)を米企業が占めた。これには、上半期の上位10位案件中5位にランクインした、ベイン連合(BCJ-52)による日立金属買収案件(4,347億円)が含まれる。2位は英企業による買収で1600億円、17.6%を占めた。
国内案件は3.6兆円、前年同期比では7.1%の増加となり、2018年上半期以来の高水準となった。これには、8位にランクインしたかんぽ生命の自己株買い案件(3,585億円)、IRE IOJ合同会社及びMAR IOJ合同会社によるインベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人投資口取得案件(3,035億円)が含まれる。
完了案件は、12.2兆円と前年同期比で23.8%低下した。案件数ベースでは、1,704件と前年同期から5.2%の減少となった。
No. | ランク日 | 被買収側企業 | 被国籍 | ランクバリュー(億円) | 買収側企業 | 買国籍 |
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1 | 2021年3月31日 | グローバルロジック ワールドワイド ホールディングス | 米国 | 10,592.6 | 日立グローバルデジタル ホールディングス | 日本 |
2 | 2021年4月23日 | ブルーヨンダー・グループ | 米国 | 7,665.2 | パナソニック | 日本 |
3 | 2021年2月7日 | ダイアログ・セミコンダクター | 英国 | 5,980.0 | ルネサスエレクトロニクス | 日本 |
4 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,780.2 | 日立金属 | 日本 |
5 | 2021年4月28日 | 日立金属 | 日本 | 4,347.7 | BCJ-52 | 米国 |
6 | 2021年3月31日 | テスラ | 米国 | 4,000.0 | (非開示の買い手) | 不明 |
7 | 2021年5月19日 | SBエナジー・ホールディングス | インド | 3,810.8 | アダニ・グリーン・エナジー | インド |
8 | 2021年5月14日 | かんぽ生命保険 | 日本 | 3,585.3 | かんぽ生命保険 | 日本 |
9 | 2021年1月7日 | ファイアストン・ビルディング・プロダクツ | 米国 | 3,503.4 | ラファージュホルシム | スイス |
10 | 2021年4月5日 | オートストア | ノルウェー | 3,099.9 | ソフトバンクグループ | 日本 |
出典:Refinitiv(リフィニティブ)
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本記事は、Refinitiv 日本M&A フィナンシャル・アドバイザリー・レビュー より許可をいただいて一部掲載しています。