日本M&Aレビュー 2021年 上半期|フィナンシャル・アドバイザー
2021年第1四半期(1-3月期)の日本関連M&A公表案件は4兆円と、前年同期から23.5%増加し、2018年以降の減少傾向からプラスに転じた。1,000億円超の案件は2倍余り増加の7件で、金額ベースでは総額2.7兆円に上り、前年同期から293.7%増えた。全体の案件数は1,033件と、1-3月期ベースで1,000件を突破するのは1980年の集計開始以来3度目となった。
業種別で見ると、最も買収の対象となったのはハイテクノロジーで、前年同期から約2倍の2.1兆円、全体の53.2%を占めて日本市場を牽引した。2位は工業で5,603億円、3位は卸売とサービスで5,162億円となった。
マーケット別で見ると、最も活発だったのはIN-OUT案件で、前年同期比87.8%増となる1.9兆円と、2019年以降で最高水準となった。
これには日立グローバルデジタルホールディングスによるグローバルデジタルホールディングスの買収(1兆592億円)、ルネサスエレクトロニクスによるダイアログコンダクターの買収案件(5,980億円)が寄与した。前述の日立グローバルデジタルホールディングス案件は、対米のソフトウエア関連の買収では過去最大。これにより、日本企業による対米出資額は総額1.1兆円に達し、これは1-3月期ベースで見ると過去4番目に高い水準となった。また海外企業の買収が最も活発だったのは米国で、総額17.4兆円と前年同期から161%の増加、日本は1.9兆円で5位、中国は1.7兆円で6位となった。
OUTーIN案件は、4,940億円と前年から216.2%の増加、2017年以来の高水準となった。これには、日本郵政、テンセント子会社のイメージフレームインベストメント、ウォールマート、三木谷興産、スピリットなど計5社による楽天への出資案件(2,423億円)、オリエンタル・ビューティーホールディングスによる資生堂のパーソナルケア事業の取得案件(1,600億円)が寄与した。後述のオリエンタル・ビューティーホールディングス案件は、海外企業による日本企業の卸売、サービス関連で歴代1位の規模となった。
国内案件は1.2兆円、前年同期比では38.3%減少し、2019年以来の低水準となった。1-3月期の国内のトップ案件は、マツモトキヨシホールディングスとココカラファインの統合案件(1,432億円)。同案件は、国内の小売関連で見ると、2018年のドン・キホーテによるユニー買収(1,993億円)に次ぐ歴代2位の規模となった。
完了案件は、6.3兆円と前年同期比で40.9%増加した。案件数ベースでは、745件と前年同期から21.9%の減少となった。
No. | ランク日 | 被買収側企業 | 被・国籍 | ランクバリュー(億円) | 買収側企業 | 買・国籍 |
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1 | 2021年3月31日 | グローバルロジック ワールドワイド ホールディングス | 米国 | 10,592.6 |
日立 グローバルデジタル ホールディングス | 日本 |
2 | 2021年2月7日 | ダイアログ・セミコンダクター | 英国 | 5,980.0 |
ルネサスエレクトロニクス | 日本 |
3 | 2021年1月7日 | ファイアストン・ビルディング・プロダクツ | 米国 | 3,503.4 |
ラファージュホルシム | スイス |
4 | 2021年3月12日 | 楽天 | 日本 | 2,423.5 |
投資家グループ | 中国 |
5 | 2021年2月3日 | 資生堂 パーソナルケア事業 | 日本 | 1,600.0 |
オリエンタル ビューティ ホールディング | 英国 |
6 | 2021年2月26日 | ココカラファイン | 日本 | 1,432.6 |
マツモトキヨシホールディングス | 日本 |
7 | 2021年2月26日 | 武田薬品工業 糖尿病治療薬4剤 | 日本 | 1,330.0 |
帝人ファーマ | 日本 |
8 | 2021年3月17日 | 日本アジアグループ | 日本 | 940.4 |
シティインデックスイレブンス | 日本 |
9 | 2021年2月24日 | 前田道路 | 日本 | 913.6 |
前田建設工業 | 日本 |
10 | 2021年1月29日 | 夢真ホールディングス | 日本 | 592.2 |
ビーネックスグループ | 日本 |
出典:Refinitiv(リフィニティブ)
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本記事は、Refinitiv 日本M&A フィナンシャル・アドバイザリー・レビュー より許可をいただいて一部掲載しています。