東芝メモリの売値は相場の4分の1

 この2兆円が高いか安いを巡っては、さまざまな見解がある。2016年にソフトバンクグループ<9984>が買収した英アーム(ARM)ホールディングスには3兆3000億円もの買値がついた。半導体メーカーにCPUの設計データを提供するARMには、工場や設備といった資産はない。あるのは知的財産だけだ。東芝メモリには知的財産に加えて工場や設備などの資産もある、親会社と違って業績も順調だ。「東芝は2兆円あれば債務超過を回避できるという一心で売却交渉をしたが、冷静に考えればもっと高値で売り抜けられたはず」との指摘も根強い。

2兆円は安すぎた?
2兆円は安すぎた? Photo by acworks

 たとえば2017年3月に米インテルが153億ドル(1兆7347億円)で買収したMobileyeの売上高は3億5800万ドル(405億円)。買収額は実に42年分以上の売上高に相当する。これは極端な例としても、前述のソフトバンクに買収されたARMは18年分以上、半導体関連の大型買収の場合、年間売上高の10年分でも珍しくない。東芝メモリの年間売上高は8166億円なので、2兆円で売却すると2年半分にも満たない。相場からみれば8兆円を超えても不思議ではないだけに、格安案件といえよう。

 米ウエスタンデジタル(WD)が東芝メモリ売却に異議を唱え、5月に国際仲裁裁判所へ売却差し止めを申し立てたのも「売値が安すぎたから」ともいわれている。そもそも8兆円を超える売却額を提示していれば、WDは入札に参加せず、きれいに別れられたかもしれない。