東京都「島しょ部520社の企業実態」調査
伊豆諸島、小笠原諸島など東京都の島しょ部に本社を置く企業は520社。最近は豊かな観光資源が見直され、訪日外国人数も増えていることから起業のチャンスもあるようだ。
公開日付:2017.05.11
2016年度に国内不動産を売却した東証1部、2部上場企業は77社で、2年ぶりに前年度を上回ったが、4年連続で70社台で推移した。工場や支店、事務所など事業資産の売却は少なく、余剰資産の遊休地や駐車場、賃貸用不動産などの売却が半数を超え40社にのぼった。業種別では、卸売が10社で最も多かった。
※本調査は、東京証券取引所1部、2部上場企業(不動産投資法人を除く)を対象に、2016年度(2016年4月~2017年3月)に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した企業を調査した(各譲渡価額、譲渡損益は見込み額を含む)。
※資料は『会社情報に関する適時開示資料』(2017年5月10日公表分まで)に基づく。東証の上場企業に固定資産売却の適時開示が義務付けられているのは、原則として譲渡する固定資産の帳簿価額が純資産額の30%に相当する額以上、または譲渡による損益見込み額が経常利益または当期純利益の30%に相当する額以上のいずれかに該当する場合としている。
会社情報の適時開示ベースで、2016年度に国内不動産(固定資産)の売却契約または引渡しを実施した東証1部、2部上場企業数は、77社(前年度70社)だった。件数が前年度を上回ったのは2014年度以来、2年ぶり。
不動産売却した社数は4年連続で70社台で推移した。深刻な経営不振を補うための売却が少ないのが特徴となった。現状は低金利に加え、株式市況や社債市場も安定している。このため金融機関や市場からの資金調達環境も緩和しており、所有不動産を急いで売却する必要がないとみられる。また、輸出企業を中心に円安で収益が大幅に改善しており、内部留保が潤沢になっていることも影響している。一方、上昇が続く不動産価格の趨勢から高値警戒感もうかがえ、買主サイドも取引に慎重な姿勢に転じていることも背景にあると思われる。
2016年度の売却土地総面積は、内容を公表した69社合計で133万6,532平方メートルだった。単純比較で前年度(公表57社合計:87万8,290平方メートル)より52.1%増えた。ただ、売却土地面積が1万平方メートル以上は17社(前年度23社)で、前年度より大型案件は減少している。
公表売却土地面積トップは、JR東海の子会社で鉄道車両メーカー、日本車輌製造の65万2,781平方メートル。海外事業での多額損失や長期借入金の全額繰り上げ返済に充てるため、愛知県内の3工場や駐車場・展示場などを売却した。次いで、2位は資産効率と財務体質の向上を目的に静岡県静岡市の土地11万5,863平方メートルを売却した通信機器、現金自動預け払い機(ATM)等製造の沖電気工業。3位は破砕・粉砕機、水処理装置メーカーの郷鉄工所が11万5,101平方メートルと続く。主に財務体質の強化で岐阜県不破郡垂井町にある本社事務所と工場の土地建物などを売却した。
譲渡価額の総額は、公表した44社合計で2,774億3,400万円(見込み額を含む)だった。
トップは三菱重工業の761億円。財務体質強化の一環として横浜市西区のみなとみらい地区に保有する「三菱重工横浜ビル」の土地建物を売却した。次いで、2位は保有資産の最適化を図るため、横浜市中区の大型複合施設「TOCみなとみらい」の土地建物を売却したテーオーシーの665億円。3位は日本車輌製造の337億円と続く。譲渡価額100億円以上は7社(前年度7社)だった。
譲渡損益の総額は、公表した69社合計で2,208億2,900万円(見込み額を含む)だった。内訳は、譲渡益計上が60社(前年度55社)で合計2,324億3,000万円(前年度1,439億7,300万円)。
譲渡益トップは、三菱重工業の516億3,000万円。次いで、テーオーシーの299億円、京浜急行電鉄の270億円、IHIの178億8,300万円と続く。これに対して譲渡損を公表したのは9社(前年度8社)で、譲渡損の合計は116億100万円(前年度82億500万円)だった。
業種別では、卸売が10社で最も多かった。次いで、機械が9社、サービスと電気機器が各7社、小売が6社、化学が5社と続く。業種別の売却土地面積では、輸送用機械が74万2,990平方メートルでトップ。次いで、機械が25万8,914平方メートル、電気機器が6万5,055平方メートル、ガラス・土石が4万7,119平方メートルの順だった。
2016年度に東証1部、2部の上場企業が売却した不動産は、本社、支店、営業所、工場など事業に直接利用されていた物件売却が28社だった。一方、遊休地や駐車場、賃貸用不動産などの売却は40社で、事業に直接影響するコア資産の売却は少なく、遊休資産が中心だった。
好業績を背景に、上場企業の不動産売却は、業績悪化などを要因にしたケースは少ない。ただ、業績が好調でも将来のビジネス展開を見据え、余裕を残して事業を見直し、工場や店舗、事務所などの集約を進める企業は増えるとみられる。このため、今後は経営資源の有効活用としての不動産売却が増加するかもしれない。
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