ルネサスエレクトロニクスは米半導体メーカーのインテグレーテッド・デバイス・テクノロジーズ(IDT、カリフォルニア州)を買収することで合意したと発表した。IDTの全株式を67億ドル(約7330億円)で取得し、完全子会社化する。買収額は日本の半導体メーカーとして過去最大となる。

自動運転やEV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド電気自動車)といった車載分野で需要拡大が見込まれる通信用半導体の開発力強化や製品の相互補完を目的とする。ルネサスは2017年に同業の米インターシルを約3200億円で買収しており、車載市場を中心に攻勢を強めている。

IDTは1980年設立で、データセンターや通信インフラ向けにデータの取得・保存・伝送を行う通信用半導体を主力とする。ルネサスは同社を取り込むことにより、これらデータエコノミー関連分野で事業を拡大するとともに、本命である産業・自動車分野での顧客提案力の向上を目指す。

自動車各社が開発を競っている自動運転分野では走行の安全のために大量のデータをやりとりするため、高性能な通信半導体が欠かせない。車載以外でも5G(第5世代移動通信システム)が世界的に整備が進む中、需要拡大が見込まれている。

IDTは米ジャスダックに上場し、直近業績は売上高927億円、営業利益122億円、純資産710億円。買収金額7330億円のうち、6790億円は銀行から借り入れる。買収はルネサスが米に設立する買収子会社(特別目的会社)とIDTを合併させる「逆3角合併」方式で行う。IDTの株主総会の承認、関係各国の独禁法当局の承認などを得たうえで、2019年6月までに買収を完了する。

ルネサスは世界トップクラスにある自動車向け半導体に加え、IoT(モノのインターネット)分野インダストリー4.0(製造業の第4次生産革命)や5Gに代表される産業、インフラ分野、IoT(モノのインターネット)分野を成長戦略の柱としている。2017年に傘下に収めたインターシルは自動車や産業機械などの電圧制御用半導体を得意とする。これに続く今回のIDT買収により、一連の成長戦略を加速する。

ルネサスは日立製作所と三菱電機の半導体部門が統合した旧ルネサステクノロジと、NECエレクトロニクスが合併して2010年に誕生。2017年12月期の売上高は7803億円。