大型案件が止まった2017年

 2015年、2016年と2年連続で1000億ドル(11兆3324億円)超大型合併が相次いだ半導体業界。だが、2017年は一転して「無風」の1年となった。2月にルネサスエレクトロニクス<6723>が電力制御集積回路(IC)やアナログ半導体などを製造する米インターシルを約3200億円で買収した。ルネサスは買収により自動車や産業機器向けの制御チップ(マイコン)事業でのラインアップや海外販売網を拡充し、2020年をめどに170億円の相乗効果を見込んでいる。

 3月には米マックスリニアがアナログ/ミクストシグナルICの設計・開発を手がける米エクサーを7億ドル(約793億円)で買収した。ここで大型M&Aの動きはピタリと止まる。2017年6月までの半年間でM&A案件は10件、総額は14億ドル(1586憶億円)にとどまった。

2017年の主な半導体M&A
買い手 買収した企業 事業内容 買収金額(億円)
2月 ルネサスエレクトロニクス 米インターシル 電力制御集積回路(IC)やアナログ半導体など 3200
3月 米マックスリニア 米エクサー アナログ/ミクストシグナルICの設計・開発 770
11月 米ブロードコム(進行中)米クアルコム 無線通信向けの半導体 14兆8000

 そんな「べた凪」状態だった半導体業界のM&A案件で、最も注目されたのが東芝<6502>の半導体メモリー子会社である東芝メモリの売却だ。東芝が「虎の子」と呼ばれる優良事業を売却せざるを得なくなった事情については、すでに多くが語られている。要するに東芝の本業とされてきた原子力事業やパソコン事業などが利益を上げられず、2兆円の債務超過が避けられなくなった。そのため「虎の子」の東芝メモリを売却して、債務超過の穴埋めをしようというわけだ。2兆円という「売値ありき」の交渉が始まった。

東芝は「虎の子」の半導体を売却へ
東芝は「虎の子」の半導体を売却へ Photo by Ishikawa Ken