充電式の電池(二次電池)をめぐり、事業買収や設備投資の動きが活発化してきた。スマートフォンやパソコンなどの携帯機器向けに需要が急拡大しているためだ。村田製作所<6981>がソニー<6758>の電池事業を2017年9月に買収したほか、TDK<6762>が2018年からの3年間で1000億円ほどを投じて、設備を増強する。マクセルホールディングス<6810>も中国工場に新しい装置の増設や工場のレイアウト変更などによる増産投資を行う。

 対象となる二次電池はリチウムイオン電池といわれる小型で容量の大きなもの。発火などの事故が少なくなく、増産に慎重な姿勢が見え隠れしていたものの、世界的な需要増に押され、事業買収や設備投資が加速してきた。この傾向は今後一層強まることが予想されるため、今後しばらくは電池業界のM&A動向から目が離させない。

村田製作所がソニーの電池事業を買収

 村田製作所はソニーから中国やシンガポールなどの電池工場を買収した。これら工場に2020年3月期までに500億円を投資し、電池事業を拡充。当面売上高2000億円を目指すという。同分野ではパナソニック<6752>、韓国サムスンSDI、韓国LG化学、TDKといった名だたる企業が先行しており、大型投資でこれら企業を追い上げる戦略だ。

TDK電池事業に3年間で1000億円を投資

 TDKは次世代型のリチウムイオン電池に2018年から2020年までの3年間に1000億円ほどを投じる。今後需要が見込める新型スマートフォン向けの中型電池やL字型の電池の開発、量産に力を入れ、生産体制を整える。同社の利益の多くはスマートフォンが稼ぎ出しており、主力事業への大型投資で収益力は一段と高まるものとみられる。マクセルも中国工場で組み立て設備を増強する。すでに電池セルの生産ライン増強を実施しており、今後10億円を投じ組み立て設備を増設することにより一貫した増産体制を整える。

大きく塗り替わる業界地図

 民間の調査会社などによると、携帯機器向けリチウムイオン電池の市場規模は2020年には2016年比で30%近く伸びるとの予測がある。この成長を続ける果実を手に入れるため、村田製作所、TDKだけでなくパナソニックや韓国勢などの大手の電池メーカーにも同様の動きが予想される。さらに現在は下位に留まっているものの中国メーカーによる買収や大型投資も十分可能性がある。ここ数年で業界地図は大きく塗り替わりそうだ。

文:M&A Online編集部