日立、パナソニック、ルネサス…なぜ「大型買収」で株価が下がる

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大型海外M&Aで株価が下落するのが「お約束」に

「高値つかみ」と「ブランド信仰」が買収を歪める

日本企業が大型クロスボーダーM&Aで失敗する最大の原因は「高値つかみ」なことだ。とりわけ複数の企業が買収に乗り出して争奪戦になると、「後にはひけぬ」とばかりに買い値をつりあげる傾向がある。東芝を倒産寸前にまで追い込んだウェスティングハウス争奪戦の最後の競合相手が三菱電機だったことからも、日本企業の「高値つかみ」ぶりがうかがえるだろう。

国内外で積極的なM&Aを仕掛けて成長を続けている日本電産の永守重信会長兼最高経営責任者(CEO)は「絶対に高値つかみしないこと。会社の規模を大きくしたい、多角化で違う分野に進出したいといった単純な動機では相乗効果が働かない」と指摘する。

海外企業のブランドに対する「過剰評価」も失敗の要因になっている。「豪大手物流会社」「伝統あるハリウッドの映画会社」といったブランドに飛びついたものの、経営は火の車。しかも、買収された企業なのに自社の名声とプライドを捨てきれず、日本企業からの指示になど従わない。買収した親会社も遠慮して手をこまねいているうちに、巨額赤字に陥るというパターンだ。

海外企業のブランドについては、「すでに知られている名声」など過去のものと厳しく見た方がよい。むしろ高く評価すべきは、まだ誰も知らないスタートアップやベンチャー企業だろう。そうした企業であれば買収価格も安いので、M&Aが失敗しても痛手は小さい。

大手であれば業績不振で苦しんでいる企業だろう。赤字企業であれば買収価格がつり上がることはないし、買われた企業も強い危機感を持っているので自ら進んで親会社と協力し、再建に歩調を合わせるはずだ。

最もタチが悪いのが経営は火の車なのに、それを隠して高値で買わせようとする企業。いわば「売り逃げ」であり、優秀な社員はすでに会社を去り、高値でつかんだが中身は空っぽだったという結末になりかねない。

文:M&A Online編集部

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