中国企業のM&A戦略を紹介するシリーズ。今回は、2016年に米国ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収したハイアールを取り上げる。ハイアールは、2011年に三洋電機の白物家電事業を買収している。

ハイアールによるGEの家電部門の買収金額は約6214億円白物家電(約55.8億ドル)と発表された。ハイアールの2017年の大型白物家電・ブランド別世界販売台数シェア は10.5%で、 9年連続で世界 No.1となっている。 

1996年にインドネシアで初の海外生産を開始

1984年に創業したハイアールは1996年、インドネシアに工場を開設し、海外生産に乗り出した。その後、フィリピンやマレーシアにも工場を設立。しかし、同じ東南アジアのタイでは地元企業に完全に敗北を喫するなど、順調とはいかなかった。

アフリカではチュニジア、ナイジェリア、エジプト、アルジェリア、南アフリカの5カ国に工場を持っている。2004年にはインドに進出した。

米国では買収失敗も味わう

一方、世界最大の家電市場である米国への進出はどうだったのか。2000年、ハイアールは米国市場開拓の足掛かりとして、サウスカロライナ州で現地生産をスタートした。しかし、米での売上は思ったほど伸びなかった。

2005年にハイアールは米家電メーカー「メイタグ(Maytag)」の買収を試みたことがあった。ライバルが現れ、最終的にメイタグは米の白物家電メーカー「ワールプール(Whirlpool)」に買収されてしまう。


エジソンが創業したGE

GEは米製造業の代名詞と言っても過言ではない、まさにシンボル的な企業である。1870年代にトーマス・エジソンが創業し、約150年という長きにわたり、米国の中心企業であり続けている。明治期の1903年に日本に事業所を置いた。

その事業内容は、多岐にわたっている。航空エンジン、医療機器、ソフトウエア、鉄道関連、鉱山機械、石油・ガス、原発・発電、家庭用電化製品、金融事業などを取り扱い、世界中で活動する多国籍コングロマリット企業である。

リーマンショックで拡大路線に終止符

長らく事業拡大の経営路線をとってきたGEだが、2008年のリーマンショック以降、事業の売却を検討するようになる。ハイアールへの家電事業の売却も、この大きな流れの中で起こったことであり、最近でも大型の売却案件が相次いでいる。

2008年、クレジット事業や消費者金融事業を手がけるGEコンシューマー・ファイナンスの全事業を新生銀行へ売却した。2017年には、傘下の石油・ガス事業のGEオイル&ガスと、米大手石油サービスの「ベーカー・ヒューズ(Baker Hughes)」との経営統合を実施した。同じ2017年には、傘下の電力機器メーカーのインダストリアル・ソリューションビジネスを、スイスの多国籍企業ABBグループへ売却することを発表している。

ハイアールの今後

2012年、ハイアールはニュージーランドの家電メーカー、フィッシャー&パイケル(Fisher & Paykel)を買収した。2011年の三洋電機買収、その後の2016年のゼネラル・エレクトリック買収へと続く流れを見ることができる。

比較的早い段階から中国国内でトップシェアを誇っていたハイアール。海外進出の足掛かりとして、買収という選択肢を試みていったことがうかがえる。

実は、ハイアールが買収した「AQUA(アクア)」は、日本国内で、コインランドリーのトップシェアも誇っている。2017年から、ランドリー機器にクラウド IoT(モノのインターネット) システムの導入も行っているという。今後、日本国内、そして世界でどのように成長していくのか。

文:M&A Online編集部