中国企業のM&A戦略を紹介するシリーズ。今回は、2018FIFAワールドカップでベスト8となったブラジル代表のネイマールをイメージキャラクターに採用している「TCL集団」を取り上げる。

無人コンビニへ投資

突然だが、中国では今、様々なタイプの無人のコンビニエンスストアが営業していることをご存じだろうか。無人店舗といえば、アマゾンがアメリカのシアトルで実証実験中のレジのない店舗である「Amazon Go」が有名であるが、中国の無人コンビニも、ウィーチャットペイなどでのキャッシュレス決済が基本となっている。

その中の一つ、「F5未来商店」に出資しているのがTCL集団。F5未来商店は、大型の自動販売機のような店舗になっており、タッチパネルで商品を選ぶと、レンジで温められた食品や冷たい飲料など、普通のコンビニで買えるものが購入できる仕組みだ。

TCL集団とは                          

TCL集団は中国の広東省恵州市に本社を置く総合家電メーカーで、世界80以上の国・地域に拠点を持つ。る。グループ全体の2017年の売上高は約1兆8600億円(1115億8000万元)であり、特にテレビ製品、液晶関連製品、エアコン、洗濯機などの売り上げが伸びている。

TCL集団は1981年に香港企業との合弁会社としてスタートしたが、これは中国国内で初めて設立された13社の合弁企業のうちの1社だった。前身は、「TTK家庭電器(恵州)有限公司」という会社であり、当初は録音テープを製造・販売していた。その後、固定電話、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの家電をはじめ、携帯電話、液晶ディスプレーなどの分野に進出した。2004年には深圳証券取引市場に上場した。

「TCL」とは、最近では「The Creative Life」の頭文字を取ったものであると説明されている。しかし、初期の社名である「Telephone Company Limited」の略とか、「Today China Lion」の略などと説明されていたこともある。

三洋電機からメキシコのテレビ工場を買収

パナソニック子会社となった三洋電機は2014年、メキシコの液晶テレビ工場をTCL集団に売却すると発表した。工場運営会社の株式の90%と設備などを約15億円(1522万米ドル)で売却した。

三洋電機は同工場場でアメリカのウォルマート向けのテレビを生産しており、売却後も当面は同工場にウォルマート向けテレビの生産を委託すると報じられた。

TCL集団は2005年頃から、世界各地に進出してきた。三洋電機のメキシコ工場買収後も、2015年に、ヒューレット・パッカード子会社のパームを買収した。パームは、携帯情報端末やスマートフォンのPalmの開発・製造を行う会社である。2016年には、ブラックベリー社の「BlackBerry」のブランド資産などのライセンスを受け、TCL集団がBlackBerryブランドの携帯情報端末の設計、製造、販売、カスタマーサポートなどを提供している。

テレビなどの家電の製造・販売を行い、携帯情報端末関連の買収も行うTCL集団。また中国国内では、無人コンビニの技術ベンチャーにも投資している。

文:M&A Online編集部