東南アジア企業に対するM&Aが注目されている。なぜ今、東南アジアなのか。そして、2020年の動向はどうなるのか。

日本企業による買収ラッシュ

アサヒグループホールディングス<2502>は2019年12月、シンガポールの飲料自動販売機運営大手アドベンド・システムズをマレーシアの子会社を通じて2020年3月に買収すると発表した。アドベンドは自動販売機の設置台数でマレーシアのトップ、シンガポールでも3位。アサヒは東南アジアで自販機設置台数を増やし、現地販売を拡大する。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)<4739>は2019年9月、インドネシアのITシステム大手コンプネットとプロシアの2社を約80億円で買収した。買収した2社はインドネシア政府や大手通信、金融機関といった優良顧客に対して、設計からシステム構築、運用までのサービスをワンストップで提供している。

モノのインターネットと呼ばれるIoTやキャッシュレス決済などのシステム開発にも力を入れており、次世代IT技術を駆使したサービスを拡充していく。CTCは2013年にマレーシアとシンガポール、2017年にタイで現地企業を買収した。同社の2018年度の海外売上高約400億円のうち、東南アジアはおよそ9割の350億円を稼ぐ「主戦場」だ。

ソフトバンクグループ<9984>のシードステージ向け投資部門SoftBank Ventures Asiaも同月、東南アジアでの定額制ファッションレンタルサービス展開を目指すシンガポールのスタートアップStyle Theoryが1500万ドル(約16億3000万円)の調達に成功したシリーズBラウンドに参加した。SoftBank Ventures Asiaは同社のシリーズAラウンドに参加している。

スマホで簡単に服をレンタルできるのが、Style Theoryの強み(同社ホームページより)

ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、シェアオフィスのウィーワークを展開するウィーカンパニーへの投資で多額の評価損失を計上し、「今後はスタートアップ企業への投資を、より慎重に判断する」と明言したが、規模は小さいとはいえ東南アジア企業は例外のようだ。