JANUARY 2021
2020年8月、米国証券取引委員会(以下「SEC」といいます。)市場取引部(Division of Trading and Markets)は、直接上場に関連して新株発行での資金調達を行うことを可能とするニューヨーク証券取引所(以下「NYSE」といいます。)による規則改正案を承認しました。しかしながら、当該承認の審査を求める第三者からの申立てにより、その効力発生は停止されていました。2020年12月22日、NYSEの規則改正案に関する再審査(de novo review)の結果を踏まえ、SECは、当該規則改正案が米国1934年証券取引所法の条項に合致するものであるとして、これを承認しました。
SECがNYSEによる規則改正を承認したことにより、企業が直接上場(引受人である中間業者の関与なしでSECに登録された募集及び証券取引所への上場を行うこと)において、新たに発行する株式を売却する道が開かれました。
直接上場に関連した新株発行での資金調達のメリット及びデメリットについては、引き続き様々な意見が分かれていますが、NYSEによる規則改正の承認により、NYSEへの直接上場を検討する企業が直面する重大な制約が取り除かれ、米国における上場企業となるための代替手段を模索している企業に対し、より大きな柔軟性が付与されることとなります。また、関連する動きとして、2020年12月17日、SECは、2020年9月にNasdaq Stock Market LLCが自らのグローバル・セレクト・マーケットに関して提案した同趣旨の規則改正案につき、これを承認するか否か決定するための手続を開始しました。
本コメンタリーは、米国市場における上場、資金調達等を検討している日本企業にとって有用な情報ですので、紹介する次第です。詳細は、Jones Day Commentary “SEC Reviews and Approves NYSE Rule Changes to Permit Capital Raising in Direct Listings”(オリジナル英語版)をご参照下さい。
弁護士 森 雄一郎
弁護士 吉田 勇輝
ジョーンズ・デイ法律事務所 「直接上場での資金調達を可能とするためのニューヨーク証券取引所の規則改正に対する米国証券取引委員会の審査及び承認」より転載
ここに記載されている見解および意見は執筆担当者の個人的見解であり、法律事務所の見解や意見を必ずしも反映するものではありません。
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