米アップルは近く、スマートウォッチ「アップルウォッチ」の新モデル「シリーズ6」を投入する。が、アップルユーザーの話題をさらっているのは、早ければ「シリーズ6」と同時発売される廉価版の「アップルウォッチSE」だ。この「SE」が現在進行中の米グーグルによる米Fitbit(フィットビット)の買収にブレーキをかける可能性がある。なぜか。

低価格で高機能な「アップルウォッチSE」

先ずは「アップルウォッチSE」について説明しよう。「SE」は正式名称ではなく、アップルウォッチユーザーが勝手につけたコードネームのようなものだ。その由来はスマートフォンの「iPhone SE」にある。旧モデルのボディーに新型モデルと同じCPUを搭載し、カメラ機能などもアップグレードした「お買い得」モデルだ。

「アップルウォッチSE」も現行機種の2世代前に当たる「シリーズ3」(現在も販売中)のボディーに現行機種「シリーズ5」に搭載している64ビットデュアルコアCPUの「S5」チップとワイヤレス通信用の「W3」チップを採用。基本性能では現行機種と同レベルになる。

「iPhone SE」と同様の価格設定だとすれば、「アップルウォッチSE」の価格は現行の「シリーズ3」と同じ2万1780円(税込)程度になるだろう。これは競合のフィットビットが近く発売する上級モデル「Sense」の3万9990円(同)や、その廉価版である「Versa 3」の2万9990円(同)よりも安い。フィットビット製品はブランドイメージで「アップルウォッチ」に及ばないため、自社製品より安い「アップルウォッチSE」が発売されれば、販売で深刻な打撃を受けそうだ。

そうでなくとも2019年11月に合意したグーグルによるフィットビット買収には「黄信号」が点灯している。欧州連合(EU)は2020年8月にフィットビットがスマートウォッチで収集した健康データをグーグルの広告ビジネスに利用されるのではないかとの懸念から、この買収を調査すると発表。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで規制当局による手続が遅れていることもあり、目標としていた年内の買収完了は難しい状況になってきた。