ドイツのペーター・アルトマイヤー経済相が2018年9月25日、企業首脳らの会合で「外国企業による一部ドイツ企業の買収阻止に向けた政府の取り組みは適切だ」と明言した。クラウドコンピューティングや、上・下水道、病院情報、航空管制などのシステム、地域公共交通といった重要なインフラを運営する事業が対象になるという。

EU域外からの買収阻止に乗り出したドイツ

ドイツでは同8月に欧州連合(EU)域外の投資家が、安全保障関連の一部ドイツ企業に15%以上の株式取得に向けた調査をする意向があることが明らかになったばかり。具体的には審査対象となる出資比率基準を現行の25%以上から引き下げるほか、調査する買収の対象枠を拡大するという。

これが実現すれば、ドイツ企業とのクロスオーバーM&Aにブレーキがかかるのは間違いない。現在は防衛・安全保障関連の企業が中心だが、いずれ審査対象枠が拡大されるのは間違いない。ドイツ政府が外国資本による買収で流出を懸念する新たな事業としては、「インダストリー4.0」と呼ばれるIoT(モノのインターネット)を駆使した生産技術や、ロバート・ボッシュやコンチネンタル、ZFなどが持つ自動運転技術、バイエルの新薬開発などが想定されている。

日本での公道試験が始まった独ボッシュの自動運転技術(同社ホームページより)

いずれも研究開発力がキモで、これから「業界標準」を握ればグローバル市場を支配できるビジネスである。こうした企業が外国企業に買収されて最先端の技術やノウハウ、グローバル戦略などが流出すれば、国家としての産業政策に深刻な打撃を与えることになる。ましてや多額の国家予算を研究開発や事業化の補助金として注ぎ込んでいれば、国民への説明ができなくなる。