日立、パナソニック、ルネサス…なぜ「大型買収」で株価が下がる

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大型海外M&Aで株価が下落するのが「お約束」に

クロスボーダーM&Aが苦手な日本企業

3社のクロスボーダーM&Aが問題視されたのは、買収金額が数千億円規模の超大型案件だったからだ。多額の買収資金が財務の悪化を招きかねないとの懸念がある。そもそも日本企業はクロスボーダーM&Aが苦手だ。

日本郵政は2015年2月に豪物流会社のトール・ホールディングスを約7618億円(当時、以下同)で買収したが、2017年4月に同社の減損処理で約4003億円の特別損失を計上すると発表。東芝は2006年10月に米原子炉メーカーのウェスティングハウスを約6600億円で買収したが、2017年3月に同社が破産して2018年1月に6400億円もの巨額特損を計上。東芝は経営危機に陥った。

1989年にソニー(現ソニーグループ)が約5200億円で買収した米映画大手のコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)も、現在ではエレクトロニクス部門に代わる優良事業部門に育っているが、M&A直後は巨額の赤字に悩まされた。

翌1990年に松下電器産業(現パナソニック)は米映画大手のMCA(現ユニバーサル・スタジオ)を買収したが、同社の赤字に耐えきれず1995年に同社の持ち分80%を売却している。

会計系アドバイザリーファームのKPMG FASによると2000年から2016年までに実施したクロスボーダーM&Aの取引総額上位100案件のうち、減損や撤退などの明らかな失敗案件が全体の約3割を占めた。

同社がクロスボーダーM&Aを実施した企業を対象にしたアンケートでは、実に7割の企業が「買収で何らかの問題を抱えている」と回答したという。英ARMの投資的な買収と売却で多額の利益を得た「買収上手」のソフトバンクグループですら、2012年に事業として買収した米携帯電話会社のスプリントでは2019年に約2220億円の減損損失を計上している。

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