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【ソフトバンク】(3)M&A卒業で「マネーバンク」に変身か

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「ソフトバンク」から「マネーバンク」へ転換か

ソフトバンクグループは事業を拡大するM&Aとして、2018年1月にLINE子会社の格安携帯会社「LINEモバイル」株の51%を取得している。しかし、これはNTTドコモ<9437>の回線を使っていたLINEモバイルを買収することで、ソフトバンク回線を利用させるのが狙い。携帯電話事業で国内シェアを引き上げるといった戦略的なM&Aではなく、ソフトバンクの通信施設の稼働率を上げることで設備の増強や運用のコストを引き下げるのが目的だ。

他社から回線を借りて格安携帯電話サービスを提供していた楽天が2019年にはキャリアに進出するなど、これまで以上に競争が激化するのは必至。しかも楽天は「低料金」をセールスポイントにすると明言しており、大胆な料金戦略で顧客を獲得してきたソフトバンクと完全に競合する。ソフトバンクグループが携帯電話事業に急速に関心を失いつつあるのも当然だろう。

孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長
「30年で成長は鈍化する」と話す孫会長兼社長。携帯電話事業も例外ではない(同社ホームページより)

孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長は2018年5月に開いた2018年3月期決算説明会で「われわれの業界は、30年で成長が鈍化する傾向がある。存続はしているものの、元気に伸び続けるという状況は、だいたい30年ぐらいで終わってしまう」と指摘した。ドコモが1991年にガラケーの源流となる(当時としては)超小型携帯電話の「ムーバ(mova)」を発売して、すでに27年が経過している。

孫会長兼社長は、もはや携帯電話事業に成長は期待できないと判断しているのだろう。同決算説明会でも「2006年にボーダフォン日本法人を買収し移動通信事業に参入したが、35年の歴史でいえば、モバイルを中心とした通信会社というのは、ほんの10年程ということになる」「ソフトバンクグループの長い歴史の中で言えば、実は通信事業というのは、一時的にその意味合いがより強くなったということ」と、携帯電話事業にこだわらない姿勢を明確に示している。

その一方で孫会長兼社長は「向こう10年で少なくとも1000社以上の人工知能やロボット関連企業などに100兆円を投資する」と宣言し、2017年12月にはプライベートエクイティ(未公開株投資)会社の米フォートレス・インベストメント・グループを子会社化した。ソフトバンクグループは純投資会社へと着実に歩を進めている。同社が新たな事業を開拓するM&Aを「卒業」し、大量の資金を有望なビジネスに投資して運用益で莫大な利益を上げる「マネーバンク」に変身する日も、そう遠くなさそうだ。

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