中部電力<9502>が「電力再編」の荒波に飲み込まれている。再編相手と目されているのは、国内最大の東京電力ホールディングス<9501>。東電の火力発電部門との合弁企業であるJERAを軸に、両社の燃料調達や海外発電事業の統合からスタートし、2019年4月には火力発電事業の一歩化に踏み出す。中部電と東電の本体同士の経営統合も、いよいよ現実味を帯びてきた。

本来ならば業界ナンバーワンの東電と組めるのは、中部電にとっても願ってもない話だ。が、東電には福島第一原発事故の補償と処理という大きな「荷物」を背負っている。すでに火力発電事業統合で「ルビコン川を渡った」といわれる中部電は、東電との経営統合にどのような青写真を描いているのか。

東電との経営統合に踏み込む中部電

中部電が誕生したのは1951年5月1日。 「電力の鬼」こと松永安左エ門電気事業再編成審議会委員長主導で進められた日本発送電解体による分割民営化(9電力体制)で、中部配電の配電部門と日本発送電の発送電部門を再編成した電力一貫管理会社として創業する。その後は他の電力会社と同様、地域独占で安定した経営を続けていた。

ところがバブル経済が崩壊すると、産業界などから地域独占による電力の高コスト構造や内外価格差の是正をを求める声が高まり、1995年の電気事業法改正で競争原理の導入による経営効率化を促す「電力自由化」が始まる。同年に電力会社に電力を供給する卸供給事業者(独立系発電事業者=IPP)と、大型ビル群など特定の地点を対象とした小売供給できる特定電気事業者(PPS)が認められた。

2000年には2,000kW以上の大口需要家に対してPPSによる自由な電力小売が認められ、2005年には大口需要家の基準が50kW以上に引き下げられた。2016年に一般家庭でもIPPからの購入が可能にとなり、すべての利用者がどこからでも電力を購入できるようになった。2020年には発送電分離が実施される予定だ。

電力供給
自由化に伴う電力供給の変化(経済産業省資料より)