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2018年の社名変更事情 「日本製鉄」インパクトが大きく
新日鉄住金の「日本製鉄」への社名変更をきっかけに企業の「改名」に関心が高まっている。「日本製鉄」は69年ぶりの復活。衣料通販サイト「ゾゾタウン」のスタートトゥデイは「ZOZO」に変わる。社名変更はその会社の出自や変遷を知るチャンスでもある。
新日鉄住金<5401>が反転攻勢の姿勢を鮮明にしている。2021年3月期までの中期経営計画(2018~2020年度)でM&Aを中心とする事業投資枠を従来中計の約2倍の6000億円と設定した。現在進行中のM&A案件だけでインド鉄鋼大手エッサール・スチールの共同買収、山陽特殊製鋼の子会社化など5指に余り、目白押しだ。2019年4月にはその仕上げともいえる「日本製鉄」への社名変更という“ビッグイベント”を控える。
世界鉄鋼協会は5月末、2017年(暦年)のメーカー別粗鋼生産量ランキングを発表した。アルセロール・ミタル(ルクセンブルグ)、宝武鋼鉄集団(中国)が1、2位を守り、3位には新日鉄住金が河鋼集団(中国)を抜いて前年の4位から浮上した。昨年3月に日新製鋼<5413>を子会社化したことや、持分法適用会社であるブラジル・ウジミナスの生産増が寄与した。
ただ、新日鉄住金の粗鋼生産量は12年連続で首位に立つアルセロール・ミタルの半分で、2年連続で2位となる宝武鋼鉄集団(宝鋼集団と武漢鋼鉄集団の統合で発足)も背伸びして届く範囲ではない。2012年10月、新日本製鉄と住友金属工業の統合で新日鉄住金が発足した当時、世界2位の粗鋼生産を誇り、アジア最大の鉄鋼メーカーだったが、中国勢の台頭で4位に順位を落としていた。実際、上位10社中5社が中国勢だ。日本のJFEスチールは8位につける。
2018年3月期の業績は売上高が前期比22%増の5兆6686億円、経常利益が同71%増の2975億円、当期純益が同49%増の1950億円と大幅な増収増益を達成した。ここでも子会社化した日新製鋼が通期で業績にフルに寄与した。東京五輪や首都圏再開発に伴う建設向け、自動車向けを中心に国内の鋼材需要が上向いたことに加え、世界的な鋼材市況の回復が後押しした。新日鉄住金の誕生からすでに5年が経過。業績が好転をたどる中で、反転攻勢への素地がようやく整ってきたといえる。
順位 | 2017年 メーカー別の粗鋼生産量 | 単位万トン |
---|---|---|
1 | アルセロール・ミタル(ルクセンブルグ) | 9703 |
2 | 宝武鋼鉄集団(中国) |
6539 |
3 | 新日鉄住金(日本) | 4736 |
4 | 河鋼集団(中国) | 4556 |
5 | ポスコ(韓国) | 4219 |
6 | 江蘇沙鋼集団(中国) | 3835 |
7 | 鞍鋼集団(中国) | 3576 |
8 | JFEスチール(日本) | 3015 |
9 | 首鋼集団(中国) | 2763 |
10 | タタ製鉄(インド) | 2511 |
(参考)世界全体の粗鋼生産量 | 16億8940 |
新日鉄住金の「日本製鉄」への社名変更をきっかけに企業の「改名」に関心が高まっている。「日本製鉄」は69年ぶりの復活。衣料通販サイト「ゾゾタウン」のスタートトゥデイは「ZOZO」に変わる。社名変更はその会社の出自や変遷を知るチャンスでもある。