「車の自動運転を2020年代のソニーの社会貢献の柱とする」。2018年5月22日に、2020年度を最終年度とする第三次中期経営計画の説明を行ったソニー<6758>の吉田憲一郎社長はこう宣言した。

併せてこの3年間の注力事業として「ソニーは世界最大の音楽出版社の一つになる」とも述べ、楽曲著作権の獲得で収益を上げる考えを明らかにした。

2020年までの3年間は安定した収益が見込める楽曲著作権で支え、その後の2020年代は車の自動運転で利益を生み出していこうという戦略のようだ。

ソニーといえば、一時期はラジオやテープレコーダー、ビデオ、カメラ、テレビといったハード機器メーカーとのイメージが定着していたが、現在は生命保険や銀行、映画、ゲームソフトなどを手がけており、企業イメージを一言で表現することが難しい。

3年後の企業イメージはどうなっているのだろうか。SONYブランドの自動運転車内でソニーの提供する音楽を聴く日はくるのだろうか。これまで多くの日本初、世界初の商品を多く生み出してきたソニーだけに期待は大きい。

社内に欠けているセンサー技術を買収

第三次中期経営計画では2018年度から2020年度までの3年間の投資額を2兆円としており、自動運転車に必要なセンサーなどの半導体の設備投資に1兆円をかけ、残りの1兆円の半分程度を戦略投資として新しいセンサー技術の獲得と、楽曲著作権の獲得に投じる見込みだ。

自動運転に必要なセンサーについて、吉田社長は「センシングの強化に向けて社内に欠けている技術の補完や取り込みを目的に投資を行う」という。

現在ソニーはCMOSイメージセンサーを用いた画像撮影の分野ではナンバーワンの地位を確立しており、CMOSイメージセンサーを用いたセンサー分野でもナンバーワンを目指すとの方針を打ち出した。吉田社長の発言はセンサー分野でナンバーワンの存在になるための技術開発や、技術補完でM&Aを積極的に活用していくことを意味する。

CMOSイメージセンサーは半導体チップの集積回路上に作成する撮像素子(イメージセンサ)で、1素子ごとに増幅器があるためノイズが少ないという特徴がある。対象物までの距離や移動方向、スピード、対象物が何であるか、などの情報を得ることができるため、自動運転には不可欠なセンサーだ。

このセンサーの応用例としてソニーは2017年10月に、窓がなくても運転できる実験車両を公開した。イメージセンサーで360度すべての方向の映像を撮影することで、夜間にヘッドライトなしで走行することができる車両だ。

沖縄科学技術大学院大学学園のキャンパスで実証実験を行っており、乗員による操作に加え、遠隔地からの操作でも走行ができる。さらに走行情報を人工知能(AI)で解析することで、最適な運行アシストにつなげ、安全な走行を実現する。こうした実験は自動運転車の開発の第一歩といってよさそうだ。

ソニーの窓なし自動車 同社ニュースリリースより