ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>が中小食品会社を次々に傘下に収めている。フリーズドライ食品のおむすびころりん本舗(長野県安曇野市)を3月1日付で子会社化したことで、グループ企業は14社となった。食品業界に特化する形で、後継者難や単独での経営に行き詰まった中小のM&Aを繰り返し、グループ全体で相互補完・相互成長する独自のビジネスモデルを作り上げた。2017年末には初の海外M&Aを実現した。会社設立10年の節目を迎え、事業拡大の動きが一段と加速しそうだ。

グループ14社を機能別に横断管理する仕組みを確立

「グループ全体で各社の持つ強みを伸ばし、弱みを補い合う」。このフレーズに、ヨシムラ・フードHDの立ち位置が集約される。

 持株会社の同社を司令塔として、傘下の子会社14社に対して営業、製造、仕入れ物流、商品開発、品質管理、経営管理などを機能別に管理する「中小企業支援プラットフォーム」というサポート体制を構築している。グループ会社の主力商品は中華総菜から、乾麺・そば粉、日本酒、水産加工品、チルド・冷凍とんかつまで様々で、販路も多岐にわたるが、機能別に子会社を横断的に管理する統括責任者を配置。会社の壁を越えて販路や生産管理手法、商品管理ノウハウなどを共有し、グループ内での相互活用や業務効率化を通じて会社ごとに異なる課題の解決を目指す。

 ヨシムラ・フードHDを率いるのは創業者である吉村元久社長(53)。吉村氏は2008年3月、エルパートナーズ(翌2009年に現社名に変更)を設立した。それ以前は一橋大学卒業後、大和証券とモルガン・スタンレー証券に20年勤務し、資産証券化やコーポレートファイナンス業務に携わってきた。同社を設立して8年後の2016年3月に東証マザーズに株式公開したのもつかの間、翌年3月に東証1部上場に昇格するスピード出世ぶりだ。

中小食品は全国に4万事業所

 食品業界に特化したのには理由がある。日本の食品製造業は全国4万事業所を数え、すべての製造業の中で最も事業者数が多く、その99%を中小企業が担っている。しかし、少子高齢化などで国内市場が縮小し、中小の食品企業にとっては厳しい経営環境が続き、事業継続を断念して廃業に追い込まれるケースが後を絶たない。全国的に知られていなくても、長い歴史に裏打ちされた高い技術を持ちながら姿を消す企業が少なくない。こうした状況が吉村氏には“商機”に映ったのだ。

 出した答えは中小食品会社の受け皿となること。単独での生き残りや後継者問題で悩みを抱える企業をグループ化し、相互に補完し、成長するプラットフォームづくりに乗り出した。

 同社の場合、グループ化した子会社の売却は目的とせず、中長期での持続的成長の実現を基本スタンスとする。事業規模が小さく成長に時間がかかる企業や、成長のための経営資源が不足しているようなケースも含めて幅広い中小企業の受け皿となっている。この点で、単独での高い成長と数年内の売却を目的とする投資ファンドと明確に一線を画する。しかも、子会社化の際、100%出資を原則としている。

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