「会社の形と質を変える」。ビジネスモデルの変革を旗印に、富士通<6702>がハード製造からICTサービス企業に経営の軸足を急ピッチで移しつつある。それを象徴するかのように、パソコン事業に続いて、スマートフォンを中心とする携帯電話事業についても売却を決断した。事業構造改革とM&Aを表裏一体で推進し、“撤退戦”もようやく一段落する形だ。ICT時代のリーディングカンパニーとしての地歩を名実ともに固めることができるのか、いよいよ真価が問われる。

携帯電話事業を投資ファンドのポラリスに売却

 2018年1月31日、富士通は携帯電話事業を国内投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループ(東京都千代田区)に3月末までに譲渡することで合意したと発表した。携帯電話子会社の富士通コネクテッドテクノロジーズ(川崎市)の株式をポラリスが設立する新会社に譲渡。さらに、富士通周辺機(兵庫県加東市)の携帯端末工場を分社化し、新設する「ジャパン・イーエム・ソリューションズ」に承継したうえで、同社株式もポラリスが設立する新会社に譲渡する。株式譲渡に伴い、2018年3月期決算の当期利益に約300億円を計上する。

 富士通は新体制となった富士通コネクテッドテクノロジーズ株式の30%、ジャパン・イーエム・ソリューションズ株式の19%をそれぞれ保有する。富士通コネクテッドテクノロジーズは新体制移行後も引き続き、富士通のシンボルマークである「インフィニティマーク」と、「arrows」、シニア向けの「らくらく」の製品ブランドを使用する。

 経営の主導権は手放す形となるものの、事業譲渡にあたっては富士通ブランドを維持できる協業の枠組みの堅持が譲れない一線でもあった。これは、中国レノボ・グループ傘下に入ることになったパソコン事業でも同様で、富士通パソコンの「FMV」ブランドを継続する。

 富士通コネクテッドテクノロジーズについて「将来IPO(新規公開)を視野に入れている」(塚野英博副社長)とする。また、ジャパン・イーエム・ソリューションズはEMS(電子機器製造受託サービス)会社として再出発する。一方、富士通周辺機は今後も富士通100%子会社として、プリンター製造とODM(相手先ブランドによる設計・製造)事業を継続する。

(photo by Bernat Agullo)