ソフトバンクグループ<9984>のM&A戦略が大きな曲がり角を迎えている。いや、それどころか「事業拡大のためのM&A」から手を引く動きさえみせているという。過去2回にわたって「M&Aアーカイブス」で取り上げてきた同グループだが、前回記事掲載(2016年12月23日)以降の動きを追った。

「10兆円ファンド」を立ち上げたソフトバンク

2016年7月に半導体回路設計大手の英ARMホールディングスを約240億ポンド(約3兆3000億円)で買収すると発表し、世間を驚かせたソフトバンクグループ。だが、その時すでに同社の孫正義会長兼社長の頭の中は、次の大きなビジネスで一杯だったはずだ。

3カ月後の同10月、ソフトバンクグループはグローバル規模で、有望なテクノロジー分野へ出資することを目的に「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立すると発表。今後5年間でソフトバンクグループが2兆6000億円を同ファンドに出資するとともに、サウジアラビア王国のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)から約4兆7000億円の出資を得たほか、その他の有力投資家からの投資を合わせて総額10兆円のファンドを立ち上げると宣言した。

孫会長兼社長(左)とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子
ファンドに参加したサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン副皇太子(右)と面談する孫会長兼社長(同社ホームページより)

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの発足を受けて、「ソフトバンクグループによるM&Aがさらに加速する」との見方が広まった。しかし、そう単純に判断できない。なぜならファンドからの出資で企業を買収したとしても、それが単に保有株の値上がりや配当目当てであれば「純投資」に当たるからだ。M&Aはあくまで企業の経営権を握り、自社の事業の補完またはシナジー効果による強化を狙うもの。米携帯電話会社のスプリント買収がそれに該当する。ソフトバンクグループは、どちらの方向へ動くのか。