日本国内の土木建設市場の縮小に対応するため、海外市場に活路を見いだそうしている大手ゼネコン。大林組<1802>も2011年から海外で積極的なクロスボーダー(海外)M&Aを展開し、短期間のうちに海外事業を拡大してきた。現在、大林組の海外売上比率は約25%と、国内ゼネコンでもトップクラス。「グローバル展開の優等生」といえる。しかし、そんな「優等生」も大きな課題を抱えている。

M&Aで急成長した北米ビジネス

大林組初の大型クロスボーダーM&Aは2011年3月、カナダの建設会社「ケナイダン社」の買収だった。この買収のために同国に設立した大林組100%出資の現地法人「大林カナダホールディングス」を通じ、オンタリオ州の建設会社ケナイダン社の出資持分の51%を取得したのだ。ケナイダン社は水処理施設などの土木工事を得意とし、数多くの施工実績を持つ。

大林組の信用力や技術力、大型工事でのマネジメント力と、ケナイダン社の地元企業としてのノウハウ、得意分野での技術力が相乗効果を発揮することにより、今後カナダで拡大が見込まれるPPP(Public-Private Partnership=官民連携)市場への参入などによる事業拡大を目指した。

2014年11月には米中堅建設会社「クレマー社」を買収した。買収額は数十億円程度とみられる。クレマー社はウィスコンシン州はじめ米中西部を地盤として、橋梁、道路、鉄道などの工事に実績がある。買収当時の年間売上高は約200億円で大林組はクレマー社の経営者らが持つ過半数の出資分を買い取ったが、買収後もクレマー社の経営陣をそのまま残した。

トンネル工事
クレマー社との連携で施工した米コロラド州のI-70ツイントンネル拡幅工事(同社ホームページより)

大林組は1970年代から北米で事業を展開し、2007年に同業の米ウェブコー社を買収していた。2014年3月期当時の海外売上高は全体の約2割に当たる2975億円で、このうち北米がクレマー社を除いても半分近い1567億円を占めていた。