カネカ<4118>が航空・宇宙分野の市場開拓に力を入れ始めた。2018年2月に、米ヘンケルの航空機用複合材事業を買収したと発表したほか、2017年6月にも航空・宇宙分野向け樹脂配合メーカーの米アプライド・ポールラミックを買収すると発表しており、この9カ月間に2社を相次いで傘下に収めた。

 航空機需要の拡大が見込まれているためで、今後もM&Aを進め、2025年には航空・宇宙分野の高機能複合材領域で年間200億円の売り上げを目指すという。

 2020年3月期に売上高8800億円を目標とする同社にとって200億円は大きな数字とは言えないが、技術力の高さや先端分野にかかわるイメ―ジの良さを考えると、ジェットやロケットが知名度を急上昇させてくれそうだ。

相次いで2社を傘下に収めた

 2018年2月に買収したばかりの米ヘンケルは、熱硬化性樹脂の一つであるベンゾオキサジン樹脂を使った複合材のメーカー。ベンゾオキサジン樹脂は一般的な航空機用複合材であるエポキシ樹脂と比べると、難燃性や耐熱性に優れた特性を持つ。カネカでは従来からエポキシ樹脂を手がけてきたが、新たにベンゾオキサジン樹脂が加わることで、航空・宇宙分野での競争力が一気に高まるとみる。

 2017年6月に買収した米アプライド・ポールラミックは、航空・宇宙分野の高性能複合材に用いられる複合樹脂で高い技術力を持つ。同樹脂は航空機のエンジンなどの高熱になる部品やロケットの部材などでの需要が見込まれている。カネカではポリイミドフィルムやエポキシ樹脂用改質剤などの高機能素材を供給しており、米アプライド・ポールラミックとカネカの技術力を融合することで、航空・宇宙分野での成長を加速するのが狙いだ。

航空機需要の拡大に伴い大きく成長

 航空機業界は米国の航空機メーカー・ボーイングが増産計画を打ち出しており、今後航空機の生産台数の増加が見込まれている。こうした需要見込みを踏まえ、炭素繊維などの素材や部品の需要拡大に向けた動きも活発化してきた。

 カネカでは高性能複合材市場は毎年10%以上成長し、10年後には2000億円以上の市場に育つと予測する。このため成長市場への対応策として、2017年に米国に子会社の「カネカ・エアロスペース」設立した。

 カネカ・エアロスペースはカリフォルニア州に本社を置き、航空機などの部材に使用される配合樹脂の製造や販売を手がけている。「ヘンケル」「アプライド・ポールラミック」「カネカ・エアロスペース」といった米国3企業が連携することで、大きな相乗効果が期待できそうだ。