エア・ウォーター<4088>が産業ガスメーカーと呼ばれなくなる日が近づいてきたようだ。産業ガスは祖業の事業だが、売上高に占める割合が2018年3月期には21.1%と全体の5分の1ほどに低下しており、さらに発電事業に戦略的に投資する計画を表明するなど、脱産業ガスの流れが加速しているからだ。同社は2021年3月期に売上高1兆円を目指しており、実現のためのM&Aも産業ガス以外の事業が中心となる可能性が高い。1兆円企業誕生の暁には、現在のスローガン「産業ガスのソリューション」の文言は消え去りそうだ。

非産業系が全体の70%、産業ガスはわずか20%

1929年設立の北海酸素と1933年設立の大同酸素が合併し、1993年に大同ほくさんが誕生。これに1962年設立の共同酸素が加わり、2000年に発足したのがエア・ウォーターだ。

部門別の売上高構成比(同社ホームぺージより)

大同ほくさん時代に冷凍食品事業を手がける「さぶーる」を設立し、産業ガス以外の分野の開拓を加速。その後、産業ガスとケミカルから成る産業系事業と、医療、エネルギー、農業、食品などの非産業系事業のバランスをとり、安定した経営を進め、2018年3月期には産業系が約30%、残りの約70%が医療やエネルギー、農業、食品などの構成となった。

エア・ウォーターの社名のエアは空気を圧縮し冷却することで、窒素や酸素、アルゴンガスなどの産業ガスを取り出すことから名づけられた。ウォーターは子会社の日本海水が海水から塩を、タテホ化学工業が海水由来の苦汁から酸化マグネシウムなどを取り出していたこともあり、空気と水にかかわる事業を創造しようとの思いが込められている。

空気と水は地球の貴重な資源であり、同社ではこれら資源を暮らしや産業に役立てるとともに、使った資源をもう一度きれいにして自然に戻すことで地球を守っていくことを企業使命としている。ところが、この社名のエアもウォーターも売上比率が下がってきたのだ。

こうした現実を生み出した要因の1つがM&Aだ。同社では新会社になった2000年以降に主なものだけでも120件以上のM&Aを実施しており、2017年は11 件に上る。それも多くが産業ガス以外だ。