東芝、「物言う株主」対策で自社株買いと特別配当に走るも不発か

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株価が低迷ならアクティビストとの対立激化も

自社株買いと特別配当を発表した7日に、東芝株は一時前営業日比3.0%高の4785円と4月16日以来の高値に。しかし、その後は前営業日と同じ4645円で引けた。1500億円もの大盤振る舞いにもかかわらず、株価は東芝の思惑通りに運ばなかったといえそうだ。

そうなると心配なのが、株主総会でのアクティビストの行動だ。自社株買いと特別配当の根拠となったのは、同社の2021年3月期決算での当期純利益が1139億円と、前期の1146億円の赤字から2年ぶりに黒字転換したこと。

もっとも、この黒字転換は前期に米液化天然ガス(LNG)事業売却で巨額の損失を計上した反動と、物流子会社の東芝ロジスティクス(川崎市)を199億8000万円で売却した営業外収益による。本業の儲けを示す営業利益は、前期比20.0%減の1044億円に留まった。

自社株買いと特別配当にもかかわらず株価が伸び悩めば、アクティビストは経営陣に対する批判や要求を強めることになるだろう。綱川社長は10月に3カ年の新中期経営計画を公表する方針で、「非上場化を含めて企業価値を上げるための提案を受けたり、検討したりするのもやぶさかではない」と明言している。

非上場化は究極の買収対策であり、同時にアクティビストに「退場宣告」する強い警告とも受け取れる。ただ、前任の車谷暢昭前社長がアクティビスト対策としてTOB提案を受け入れる姿勢を見せたために、「東証1部復帰を悲願としてきた東芝の経営方針と合致しない」と辞任に追い込まれている。

その「急先鋒」が綱川社長だっただけに、買収阻止やアクティビスト対策とはいえ上場廃止を持ち出すことで経営方針の整合性を問われたり、社内の反発を招いたりする可能性もある。当面は東芝の株価の行方に注目だ。

文:M&A Online編集部

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