新たな敵対的TOB株式公開買い付け)が持ち上がった。旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンス(東京都渋谷区)は21日、東芝機械(東証1部)に対してTOBを実施すると発表した。

259億円投じ、約44%の取得を目指す

買付期間は同日から3月4日までの30営業日。最大259億2000万円を投じて、グループ企業による既保有分12.75%と合わせ東芝機械株の43.82%の取得を目指している。東芝機械は買収防衛策で対抗する意向を明らかにしており、敵対的TOBの構図となっている。

シティインデックスによる買付予定数の上限は750万株(所有割合43.82%)、下限は350万株(同27.25%)と設定。このうち、同社の親会社であるオフィスサポート(東京都渋谷区)と関係先企業のエスグラントコーポレーション(同)の2社が合計307万6200株(同12.75%)を保有している。買付代理人は三田証券が務める。

東芝機械株の買付価格は1株につき3456円で、TOB実施決定日(20日)の前営業日(17日)終値3115円に10.95%のプレミアムを加えた。東芝機械は先週末の17日に、オフィスサポートから1月21日にTOBを開始するとの予告を受けた事実を公表していた。このため、週明け20日の東芝機械株の終値は590円高の3705円に急騰。21日の終値は355円安の3350円だった。

シティインデックス側は2019年1月以降、東芝機械に対して内部留保の株主還元によるROE(株主資本利益率)向上などについて、13通の書簡や5度の面談を通じて提案してきたにもかかわらず、提案に応じてもらえなかったと指摘。発言権を強化し、コーポレートガバナンスを改善するため、TOBを決断したとしている。

希釈化へ…「新株予約権」で対抗方針

東芝機械は17日に発表した「TOB予告を受けた対応方針」の中で、新株予約権の無償割り当てによる対抗措置を講じる用意があることを明らかにした。全株主に新株予約権を割り当て発行するものの、新株予約権を一般株主は行使できるのに対し、非適格者に該当する者(この場合はシティインデックス)は行使できないため、株式の保有割合が一定程度希釈化される効果を持つ。

シティインデックス側は、東芝機械の買収防衛策株主総会の承認を得ずに取締役会の判断により、新株予約権の無償割り当てが可能としていることについて、公開買い付け制度を軽視したものだ、などと批判している。

TOB成否のもう一つのカギは株価の行方?

当面注目されるのは東芝機械がどのタイミングで買収防衛策の発動に踏み切るかという点。もう一つは東芝機械の株価の行方だ。21日時点では買付価格が市場価格を100円ほど上回っているが、今後、高値を狙った思惑買いが進み、買付価格と市場価格が逆転する相場展開になれば、TOBの成立に黄色信号が灯る。

東芝機械は1938年に芝浦製作所(現東芝)の出資で発足した「芝浦工作機械」が始まりで、射出成型機や工作機械の製造を主力とする。今では東芝の持ち株比率は約2%まで低下。今年4月1日には「東芝」の名前を返上して「芝浦機械」に社名変更を予定している。

投資家の村上世彰氏(旧村上ファンド代表)に近い筋の「モノ言う株主」と名門機械メーカーとの攻防は果たして、どちらに軍配が上がるのか。

文:M&A Online編集部