経営統合に向けて、日本取引所グループ(JPX)による東京商品取引所(東商取)へのTOB株式公開買い付け)がきょうから始まる。10月1日付で東商取を完全子会社とする。株主は87人(普通株式、3月末)と100人に満たず、大部分は金融機関や商品先物会社などの“関係筋”だけに、順当に買い付けが進む見通しだ。

東商取の株主数は100人に満たず

JPXは、東商取の無議決権株式を含めて発行済み株式のすべてを取得する予定。TOB価格は普通株1株あたり487円、無議決権株式1株あたり4万8700円。買付予定数は312万4573株(うち無議決権株式8万3573株)。買付金額は最大55億5000万円。

ただ、今回のJPXによるTOBは通常のパターンとは様相を異にする。TOBは上場会社の株式を不特定多数の株主から大量に取得する際に用いられる手法だが、東商取の場合は株主数が極めて限定されるからだ(主な株主は表を参照)

また、東商取は非上場企業だが、TOBの対象となるのは同社が上場会社に準じる有価証券報告書提出会社であるのが理由。

買付期間は9月24日までの36営業日。買付予定数の下限は議決権ベース3分の2以上。応募株券数が下限に届かなった場合、JPXは買い付けを行わないが、これはまずありそうにない。先の述べたように、限られた数の株主には業界関係企業がずらりと並ぶ。

有価証券報告書によると、普通株式の株主87人の構成は金融機関2、商品先物業者11、その他法人65、外国法人7、個人その他2(3月末)。一方、無議決権株式は株主66人で、商品先物業者10、その他法人50、外国法人4、個人その他2(同)。

10年越しの「総合取引所」実現へ

JPX、1日から東商取にTOB開始

両社の経営統合を経て、証券と商品先物を一体的に取り扱う「総合取引所」が2020年夏にも発足する。現物の株式から、穀物や原油、金など先物の商品まで様々な金融商品をワンストップで扱うのが「総合取引所」。総合取引所は欧米で一般的だが、日本でも2000年代後半に構想が打ち出され、ようやく実現の運びとなる。

東商取の母体は1951年に設立した東京繊維商品取引所。その後発足した東京ゴム取引所(52年)、東京金取引所(82年)を統合して1984年に東京工業品取引所(東工取)として新たにスタートした。2008年に、会員制から現在の株式会社に組織変更した。

さらに2013年に、東工取が東京穀物品取引所(同年解散)から大豆、小豆、トウモロコシ、粗糖の先物取引を引き継ぎ、「東京商品取引所」に社名を変更した。

同じ年、東京証券取引所グループと大阪証券取引所(現大阪取引所)が経営統合してJPXが誕生した。JPXでは傘下の東京証券取引所が株式、大阪取引所がデリバティブ(金融派生商品)を取り扱っている。

一度延期してTOB開始

JPXと東商取は今年3月、経営統合で基本合意した。ただ、当初6月末のTOB開始を目指していたが、買付価格で折り合わず、いったん延期し、8月1日にずれ込んだ経緯がある。

TOBをめぐっては今年に入り、事前に対象企業の同意を得ないまま一方的にTOBが行わるケースは伊藤忠商事の対デサント、南青山不動産(東京都渋谷区)の対廣済堂、HISの対ユニゾホールディングスの3件がすでに発生。このうち、伊藤忠の対デサント案件は敵対的TOBに発展し、一般の関心を集めたのが記憶に新しい。

議決権ベースの上位株主(3月末時点。東商取の有価証券報告書から)

株主名 議決権割合(%)
豊商事 6.6
みずほキャピタル 5
住友商事 4.93
日本経済新聞社 4.93
日本ユニコム 4.93
野村ホールディングス 4.93
みずほ銀行 4.93
三菱商事RtMジャパン 4.93
りそな銀行 4.93
NTTデータ 4.9
バークレイズ銀行 4.52
時事通信社 3.29
カネツ商事 2.47
コムテックス 2.47
Jパワー 2.47
岡安商事 1.22
JTXGエネルギー 1.22
フィリップ証券 1.22
69.91

文:M&A Online編集部