1月17日、米投資ファンド、ベインキャピタルによる廣済堂<7868>TOB株式公開買い付け)が発表された。廣済堂は主に印刷、求人メディア、葬祭などの事業を展開している多角化企業であるが、今般、同社の土井常由社長とベインキャピタルが、廣済堂の中長期的な成長のために非上場化を行うことが不可欠だという点について合意した。いわゆるMBO(経営陣による買収)の一環としてTOB実施に至ったとのことだ。買付期間は1月18日〜3月1日。TOB価格は610円。発表直前の終値424円に対して43.87%のプレミアムが付されている。

しかし、同社の株価は2月に入ると700円を超え、TOB価格を大幅に上回っており、TOB不成立の可能性が浮上してきた。背景には、2月4日に、旧村上ファンド系の投資会社であるレノにより、廣済堂の株式にかかる大量保有報告書が提出されたことがあると考えられる。

そこで今回は、なぜMBOが実施されることとなったのか、レノがMBOの阻止に回っているのはなぜなのかということについて考えていきたい。

葬祭事業頼りの厳しい事業環境

廣済堂は、主に①印刷・出版事業、②人材事業、③葬祭事業、④ゴルフ場事業を行っており、①と②を情報セグメント、③を葬祭セグメント、④をその他セグメントとして分類している。セグメントごとの業績推移を見ると、以下のようになっている。
 

 これを見ると一目瞭然だが、廣済堂の利益はほとんど葬祭事業から生まれている。情報セグメントについては、出版事業を行う子会社「廣済堂出版」が18/3月末時点で5億400万円になっていること、単体PL(損益計算書)上赤字が継続していることから、印刷・出版事業で損失を計上しており、それを人材事業の黒字でカバーしてなんとかセグメント全体としては黒字という状況になっているのだろう。

実際に廣済堂の単体財務諸表を見ると、非常に厳しい状況に置かれていることがわかる。2017年3月末時点の単体の総資産は429億円であるのに対し、純資産はわずか2億円弱。また、同時点の現預金残高が50億円程度であるのに対し、有利子負債残高は約340億円にものぼり、その中には関係会社(葬祭事業を行う子会社である「東京博善」と思われる)からの借入金90億円も含まれる。

2017年12月に本社を含む都内のビルと土地を売却して38億円の固定資産売却益を計上し、資本金を30億円を利益剰余金へ振り替える欠損填補も実施しているが、これは恐らく、窮地に追い込まれた状況から脱するために、やむをえず行われたものであろう。

稼ぎ頭の葬祭事業…子会社「東京博善」が経営する斎場の一つ(東京都新宿区)