2019年第2四半期(4-6月)の国内株式TOBの概況

2019年第2四半期に公表された国内株式を対象とするTOBは5件でした。直前四半期の公表件数は15件、前年同期の公表件数は7件でしたので、TOB市場は前年同期比ではやや沈静化し、直前四半期からは大幅に減少した状況にあります。

5件のうち、2件が親子上場会社における上場子会社の非上場化を目的として実施したものでした。また、上場子会社の被支配株主持分を対象とするTOBで非上場の2社出資JV化(51:49)を目的としたTOBが1件ありました。他方、相互に資本関係がなかった上場会社3社が経営統合を行い、1社が非上場完全子会社、1社が親子上場子会社、1社が上場親会社となり、結果上場子会社が1社増加することとなったものが1件あり、全体として親子上場数は2社の減少となりました。

その他、ファンドによるバイアウトが1件ありました。

表1.親会社による上場子会社の完全子会社化

買付企業 対象企業 TOBプレミアム
小糸製作所 KIホールディングス<6747> 48.69%
LITE-ON TECHNOLOGY 日本ライトン<2703> 32.6%

(筆者作成)

表2.上場子会社の非上場化(2社JV化)

買付企業 対象企業 TOBプレミアム
LDF(KDDI) カブドットコム証券<8703> 0.72%

(筆者作成)

表3.結果的に上場を維持する子会社が1社増加する3社間企業統合の一環としてのTOB

買付企業対象企業TOBプレミアム
新川アピックヤマダ<6300>2.52%

(筆者作成)

表4.ファンドによるバイアウト

買付企業 対象企業 TOBプレミアム
イースト投資事業(インテグラル) 日東エフシー<4033> 48.51%

(筆者作成)

2019年第2四半期のTOBプレミアムの動向

2019年第2四半期のTOB全5件のTOBプレミアムの平均は、26.62%でした。ディスカウントTOBを除いた平均は前年同期24.78%、直前四半期32.43%でした。

対前年同期比では上昇、対直前四半期では下落で推移していますが、いずれも大きくは変動しておらず、概ね横ばいでの推移と考えられます。

今後のTOB市場予測

引き続き、グループ再編型のTOBは一定の取引量を維持するものと考えられます。

親子上場会社の子会社に注目です。

一方、2020年3月期第1四半期決算発表の結果、上場会社の減益傾向がより鮮明となり、実体経済への悲観が増えつつあり、為替も円高傾向、株価も下落傾向が続くなど、企業の投資意欲は縮小傾向が続いています。

従来同様、事業会社による積極的な事業拡張を目的としたTOBは低調となる可能性が高く、株価が6か月以上低迷しているような企業のMBO・バイアウトなどは活性化する可能性があるというシナリオを維持したいと思います。

文:巽 震二/編集:M&A Online編集部