定食「ごはん処大戸屋」を展開する大戸屋ホールディングスに対する外食大手、コロワイドの敵対的TOB(株式公開買い付け)がいよいよカウントダウンに入った。買付期間の8月25日まで10日(営業日ベース)を切った。コロワイドが優勢とみられているが、大戸屋HDは最後の最後で劣勢をはね返し、TOB成立を阻止できるのか?

順当なら、コロワイドに軍配が濃厚

コロワイドはTOBを通じて大戸屋HD株を追加取得し、現在19%の保有割合を51%強に高めて子会社化することを目的としている。保有割合をぎりぎり過半とし、経営権の掌握をまず優先する構えだ。TOBは7月10日に始まったが、大戸屋HDは「企業価値・ブランド価値を毀損する可能性が高い」として反対を表明し、敵対的買収に発展した。

大戸屋HD株の買付価格は1株あたり3081円で、市場価格に約46%のプレミアムを上乗せした。株価はTOB開始初日に3050円(終値)の高値をつけ、買付価格に迫ったが、以降は2900円~2800円台で推移。8月12日の終値は2840円で、多くの株主にとってはTOBに応募した方が有利な状況にある。順当ならば、コロワイドの筋書き通りにTOB成立が濃厚だ。

音なしの大戸屋HD、巻き返しあるか?

にもかかわらず、大戸屋HDが反撃に出たのかといえば、今のところ音なし。対抗措置として、大戸屋HDに友好的な第三者(ホワイトナイト)に援軍を仰ぐケースなどが想定されたが、具体的な動きはなく、肩透かしの感がぬぐえない。

そうした中、大戸屋HDが頼みとするのが全株主の約6割とされる個人株主。株主優待制度を大幅拡充し、コロワイドに株を売却しないよう訴えている。ただ、個人株主の動向は読み切れないだけに、手をこまぬいているのも同然。もちろん、大戸屋HDが巻き返しに出る可能性は捨てきれないが、残された時間は多くない。

両社対立の事の発端は昨年10月、コロワイドが大戸屋HDの創業家から株式を取得して筆頭株主になったことにさかのぼる。

コロワイドはコスト削減のために食材の仕入れ・加工を工場で一括集中するセントラルキッチン方式を提案したが、店内調理に売り物にしてきた大戸屋HDは聞き入れなかった。コロワイドは大戸屋HDの今年6月の株主総会で経営陣刷新を求めたが、否決され、敵対的TOBという“実力行使”に出たのだ。

前田建設、旧村上系に続く今年3件目の敵対的TOB

今年に入り、敵対的TOBはすでに前田建設工業による前田道路、旧村上ファンド系企業による東芝機械(現芝浦機械)に対する2件が発生した。前者はTOB成立、後者はTOB撤回となったが、果たして今回はどのような結末が待っているのか。

大戸屋HDは「大戸屋ごはん処」を国内で約350店舗展開する。2020年3月期は売上高4.5%減の245億円、営業赤字6億4800万円(前期は4億1400万円の黒字)で、業績立て直しが急務となっている。

一方、コロワイドは定食という昼業態を取り込む狙いがある。同社は居酒屋「甘太郎」「北海道」などを展開し、傘下には「牛角」のレインズインターナショナル、「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトなどの上場子会社を持つが、積極的なM&Aで業態の多様化を推し進めてきた。

文:M&A Online編集部