ファミリーマートが株式市場から“退場”する。親会社の伊藤忠商事がTOB(株式公開買い付け)を実施して完全子会社化するのに伴い、上場廃止となるためだ。ファミリーマートが株式上場したのは1987年にさかのぼるが、むろん、その当時から伊藤忠の傘下にあったわけではない。ファミリーマートの産みの親となった企業とは?

西友ストアーが1978年にコンビニ事業に進出

ファミリーマートは2月末時点で国内1万6611店舗(全店売上高2兆9650億円)を持つコンビニ業界2位。同社株式の50.1%を保有する伊藤忠は、残る49.9%の株式をTOBによって取得する。7月9日から8月24日を期間として1株2300円で買い付けを始めており、総額は5808億円。TOB成立を受けて、ファミリーマートは東証1部上場から外れる。

伊藤忠がファミリーマートの経営に関与するようになったのは1998年。子会社を通じてファミリーマート株式の約30%を西友ストアーから取得し、筆頭株主となった。実はこの西友ストアーこそがファミリーマートの設立母体、つまり産みの親なのだ。若い世代のコンビニ利用者には意外と知られていない事実かもしれない。

西友ストアーは1978年にコンビニ事業に進出した。当時は国内のコンビニ草創期。ライバルのスーパー大手、イトーヨーカ堂が1973年に「セブンイレブン」、ダイエーが1975年に「ローソン」の展開に乗り出していた。

1981年に西友ストアーからコンビニ事業が独立し、運営会社のファミリーマートがスタートした。87年には東証2部に株式上場(89年に東証1部昇格)した。旧セゾングループ(西武グループの非鉄道部門)で西友ストアーは西武百貨店、パルコなどと並んで中核をなした。

ところが、バブル期の不動産・リゾート開発失敗などによるセゾングループの不良債権処理のため、西友ストアーも保有するファミリーマート株式の売却を迫られたのだ。

産みの親は米ウォルマートの傘下に

結局、セゾングループは解体し、ファミリーマートの元親会社・西友ストアー(現西友)は世界的小売業の米ウォルマートに買収された。西武百貨店は同業のそごうとの経営統合を経て、セブン&アイ・ホールディングスの傘下に組み込まれた。セブン&アイの大黒柱が「セブンイレブン」であることは言うまでもないだろう。

西友をめぐっては、ウォルマートによる売却説がひところ取りざたされたが、ここへきて株式の再上場を模索するとの観測が急浮上している。

西友は米ウォルマートの傘下に(東京都杉並区内の店舗)

「ローソン」を世に送り出したダイエーは経営が傾き、イオンの傘下となり、ローソンは三菱商事の上場子会社に収まって久しい。ファミリーマート自身は昨年、旧ユニー系列のサークルKサンクスを取り込んだ。

コンビニ激動、完全子会社化に突き進む

コンビニ業界は24時間営業やフードロス問題を受けてビジネスモデルの変革を迫られているうえ、Eコマースの急拡大や新型コロナによる在宅勤務の広がりによる購買活動の多様化が進み、成長に限界が見え始めたとの指摘もある。

伊藤忠はファミリーマートの子会社化まで10年をかけ、持ち株比率を段階的に高めてきた。2018年に約1200億円を投じたTOBで8.6%を買い増して50.1%とした。それが今回、一気呵成にファミリーマートの完全子会社化に踏み込む。上場廃止してグループ一体となって迅速に意思決定を進めることが狙いという。コンビニ激動期をどう乗り切るのか、ライバル各社も見守っている。

文:M&A Online編集部