居酒屋の「はなの舞」や「さかなや道場」を運営するチムニー<3178>は2020年6月23日に、2020年3月期の当期損益が28億1200万円の赤字に転落したと発表した。 

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、2020年2月以降に売り上げが急減したのに加え、閉店予定店舗などを対象に減損損失を計上したことなどが理由だ。 

飲食業は新型コロナウイルスの影響で、幸楽苑ホールディングス<7554>、ワタミ<7522>、力の源ホールディングス<3561>なども最終赤字に陥っている。いずれも2021年3月期については先行き見通し難を理由に業績予想を未定とする厳しさだ。 

チムニーは今後、テイクアウトやデリバリーなどを拡充するほか、従来の居酒屋スタイルから食事を中心とした業態に転換する計画という。 

1984年にジャスコ(現イオン)100%出資の居酒屋フランチャイズの企業としてスタートした同社だが、2019年に焼肉店などを運営するシーズライフ(東京都渋谷区)を子会社化しており、コロナ禍によって、こうしたM&Aに拍車がかかることになりそうだ。

 【飲食企業の2020年3月期の業績】単位:億円

  売上高 営業利益 経常利益 当期損益
チムニー 411.07 2.83 0.36 △28.12
幸楽苑ホールディングス 382.37 6.6 8.23 △6.77
ワタミ 909.28 0.92 3.49 △29.45
力の源ホールディングス 291.06 6.97 6.23 △2.14

居酒屋から食事中心の業態に転換 

チムニーは、はなの舞、さかなや道場のほかにも、軍鶏農場、豊丸水産、やきとり さくら、こだわりやまなど多くのブランドを展開している。これら店舗は、いずれも新型コロナウイルスの影響で休業や営業時間の短縮などを余儀なくされ、2020年2月、3月は売り上げが急減した。その結果、2020年3月期の売上高は前年度比10%減の411億700万円にとどまった。 

利益は減収の影響や閉店予定の72店舗の減損損失として25億7100万円を計上したことなどにより、営業利益が同88.5%減の2億8300万円に、経常利益が同98.5%減の3600万円に大幅に落ち込んだほか、当期損益は28億1200万円の赤字に転落した。 

2021年3月期については新型コロナウイルスの影響で、消費活動の回復の見通しが困難な状況にあることや、勤務形態や生活形態が変化する中、消費習慣が変化することが想定されることなどから、業績予想の算定が困難として、通期業績予想を未定とした。 

さらに、2020年3月期の決算発表で今後の見通しとして、顧客の行動パターンの変化に対応して、居酒屋から食事を中心とした業態に転換することを公表した。 

同社はイオン系の酒販店やまやの子会社となった2013年以降に、ラーメン店やハンバーグやオムライスなどの店舗を譲り受けるなど居酒屋以外の店舗運営にも取り組み、2019年には東京都内を中心に焼肉店「牛星」「山河」などを運営するシーズライフを子会社化した。 

今回のコロナ禍はこうした脱居酒屋の動きを加速させるものになりそうだ。チムニーは次の一手をいつどのような形で打ってくるのか。新型コロナウイルスの影響を読み切れないとはいえ、悠長に構えている時間はなさそうだ。

チムニーの沿革と主なM&A
1984 ジャスコ(現イオン)の100%出資の居酒屋フランチャイズの企業として設立
2005 ジャスダック証券取引所に株式を上場
2008 東京証券取引所市場第二部に上場
2009 エフ・ディーによる公開買い付けによりエフ・ディーの子会社になる
2010 東京証券取引所上場廃止
2012 東京証券取引所市場第二部に再上場
2013 豊丸など居酒屋8店舗とラーメン店1店舗を事業譲受
2013 やまやの公開買い付けにより、やまやの子会社になる
2014 魚鮮水産、紅フーズコーポレーション、めっちゃ魚が好きの3社を子会社化
2014 東京証券取引所市場第二部から市場第一部に変更
2017 ハンバーグやオムライスなどの7店舗を事業譲受
2018 DE ICHIBA八丁堀店を事業譲受
2018 つぼ八の34%の株式を取得
2019 「牛星」「山河」ブランドで焼肉業態を運営するシーズライフを子会社化

文:M&A Online編集部