貸会議室大手のティーケーピー(TKP)の業績に急ブレーキがかかっている。新型コロナ感染の拡大で、貸会議室の需要が減り、2020年3~5月期決算の最終損益は14億7100万円の赤字(前年同期は4億900万円の黒字)に転落した。テレワーク(在宅勤務)の広がりなどに象徴される社会情勢の変化を受け、ウィズコロナ時代をどう乗り切ろうとしているのか。

TKP本体、部門売上高が45%ダウン

TKPが先に発表した2020年3~5月期決算によると、売上高は前年同期比0.4%増の104億円とプラスを確保した。ただ、これは昨年買収したレンタルオフィス大手の日本リージャス(5月に子会社化)、台湾リージャス(9月に子会社化)が連結寄与したためで、両部門を除くTKP本体の売上高は56億9300万円と前年同期比45.3%の大幅減となり、営業損益も12億円近い赤字を計上した。

TKPの2020年2月期決算(通期)は売上高53%増の543億円、営業利益47.5%増の63億2500万円と過去最高を記録。貸会議室の利用が好調に推移したうえ、日本リージャスなど2社の買収効果が業績を押し上げた。新型コロナ感染の影響は2月から表面化し、緊急事態宣言と重なった3~5月期を直撃したのだ。

「リージャス」のロゴ

買収したリージャスが業績を下支え

TKPブランドとリージャスブランドで国内外約430施設を運営するが、TKP本体(約250施設)では時間貸しを基本とする会議室の予約キャンセルや利用延期が相次いだ。これに対し、レンタルオフィスをメーンとするリージャス部門の顧客の契約期間は平均1年~1年半と貸会議室に比べて長く、サテライト(分散)オフィスとしての活用もあり、新型コロナの影響は限定的だった。

リージャスは1100都市、3300拠点超で展開する世界最大手のレンタルオフィス会社。TKPはその日本法人を約450億円、台湾法人を約30億円で買収した。従来の時間貸しに加え、短中期のレンタル、サブスクリプション(定額制)契約までの様々なビジネス需要に対応できる体制づくりを狙いとしたが、これが奏功した格好だ。

◎3~5月期の部門別業績(単位100万円、△損失、EBITDAは税・利息・償却控除前利益)

  売上高 EBITDA 営業損益
TKP本体 5,693 △828 △1,171
日本リージャス 4,446 1,034 271
台湾リージャス 297 161 △68

会議室需要に「変化」

となると、今後の業績浮沈を左右するのが会議室の動向だが、5月末に緊急事態宣言が解除されたのを受け、6月以降、回復傾向にあり、最近はある変化も出ているという。

貸会議室は会議のほか、研修、宴会、セミナーとして利用されるが、ここへきて増えているのが英語検定などの試験会場としてのニーズだ。前年同期比2倍以上だという。コロナ対応のため、従来の試験会場とされてきた大学がキャンパス閉鎖で使えないのが理由。また、Webセミナー・配信をセットにした会議室のスタジオ利用が増え、オフィス分散化の動きが加速しているという。

貸会議室では新型コロナ対策として、飛沫防止アクリルスタンド、空気清浄機、体表温度を検知するサーモグラフィー、非接触型検温器、フェイスシールドなどの備品を充実させたのは言うまでもない。

サテライトオフィスに照準

東京都心部ではオフィスビルの空室率が上昇する一方で、サテライトオフィスを活用する例が広がりつつある。富士通は全国でオフィス面積を2023年3月までに半減させ、エリアごとに中核オフィスやサテライトオフィスを設け、全席をフリーアドレスにするなどの方針を発表した。RIZAPグループも在宅ワークを基本に本社オフィス(東京・北新宿)のスペースを半減する意向だ。

こうした流れをとらえ、TKPは今後のオフィスのあり方として、本社と複数のサテライトオフィスで構成される「ハブアンドスポーク型モデル」を位置づける。本社ビルの集積地である都心部にとどまらず、住宅地域から都心部へのハブとなる主要駅を出店候補とする。

7月に入り、TKPはブライダル事業のエスクリと資本業務提携し、約12%出資した。エスクリは都内を中心に挙式・披露宴施設(国内33)を運営する。TKPは他社の平日遊休スペースを活用し、自社の法人顧客に宴会場としての利用を促す。

新型コロナの影響を見通せないとして、2021年2月期の業績予想は未定。感染再拡大が懸念される中、引き続き厳しい経営環境が予想されるが、アフターコロナを見据えて、どんな新機軸を打ち出すのか、要ウオッチだ。

文:M&A Online編集部