オリンパス<7733>はデジタルカメラなどの映像事業を分社化したうえで、投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京都千代田区)に売却する。同事業の価値やリスクなどの調査を行い、2020 年9月30日までに正式契約を結び、年内の取引完了を目指すという。

同社がホームページで公表している2008年3月期以降の決算資料によると、映像事業で過去13年間に黒字だったのは3年だけで、赤字体質が定着していた。特にこの2年間は厳しい状況にあり、2019年3月期、2020年3月期は400億円台の売り上げに対し100億円を超える営業赤字に陥っていた。

映像事業では、中国でデジタルカメラなどを製造(2018年5月に操業停止)していた現地子会社を中国企業に売却することで2018年12月に合意したが、条件で折り合いがつかず、2020年1月に破談になった案件がある。

今後、改革を行い黒字化が見込める状態にしたうえで、映像事業を売却する予定だが、デジタルカメラ需要が減少しているところに新型コロナウイルスの影響も加わっており、オリンパスにとっては厳しい交渉になりそうだ。

紆余曲折も

オリンパスは1936年にレンズの「ズイコー」を用いたカメラの製造、販売を始めて以来、映像事業で80年以上の歴史を持つ。2008年3月期には部門売上高3205億8900万円、営業利益は330億8600億円を上げ、経営の大きな柱となっていた。

その後、スマートフォンなどの普及によるデジタルカメラの需要減少に伴って、同社の売上高も右肩下がりとなり、2020年3月期には売上高は436億1500万円と2008年3月期の7分の1以下に縮小。営業損益は103億9300万円の赤字に陥った。

この間、生産拠点の再編などによるコスト構造の見直しや収益性の高い交換レンズの強化などに取り組んできたが、改善がみられなかったことから、事業の切り離しに踏み切ったわけだ。

映像事業を分社化して設立する新会社は日本産業パートナーズの支援を得て、研究開発や製造体制、カスタマーサポート機能などを維持し、事業の持続的な成長を目指す。

事業買収に名乗りを上げた日本産業パートナーズは、事業や子会社の外部への切り出し(カーブアウト)で豊富な実績を持つ。ソニーのパソコン事業、日立国際電気の非公開化に伴う情報・通信事業の戦略的カーブアウトなどで知られる。

2019年3月期の有価証券報告書によると、映像事業には従業員4570人がかかわっており、米国、欧州、中国、韓国、ベトナムに映像事業関連の現地子会社がある。映像事業を黒字化するにあたっては、こうした人員体制や海外拠点の見直しなどが交渉のテーブルに上がってくるものと思われる。

このところ業績の足を引っ張る存在だった映像事業だが、長い歴史を持つかつての主力事業の切り離しだけに、紆余曲折もありそうだ。

【映像事業の売上高推移】単位:億円、決算期は3月

【映像事業の営業損益推移】単位:億円、決算期は3月

文:M&A Online編集部