2期連続で最終赤字に陥っているペッパーフードサービス<3053>が、ついに事業売却に踏み切った。同社は2009年にモスフードサービスからハンバーグやステーキを提供するステファングリル事業を譲り受けたほかには、M&Aに馴染みがなかった。

経営再建のため事業売却という新たな一手を打ったわけだが、新型コロナウイルスの影響で2020年12月期の業績予想を未定に修正したほか、当初5月に予定していた同第1四半期決算の発表を7月末に延期するなど混乱が続いている。

同社の2019年12月期は売上高675億1300万円(前年度比6.3%増)、営業損益は7100万円、経常損益は3400万円、当期損益は27億700万円のいずれも赤字。

売却の対象となったペッパーランチ事業の2019年12月期は売上高87億8800万円(同14.8%増)、セグメント利益は12億2500万円(同9.1%減)といった状況で、業況は堅調に推移していた。

コロナ禍を乗り切る手段として堅調事業の売却を選択した同社にとって、コロナ後に事業売却の影響はどのような形で表れるだろうか。いったん規模を縮小したあとの拡大時には3度目となるM&Aの出番もあるかもしれない。

【ペッパーフードサービスの業績推移】単位:億円

  2016年12月期 2017年12月 2018年12月期 2019年12月期
売上高 223.33 362.29 635.09 675.13
営業損益 9.58 22.98 38.63 △0.71
経常損益 9.73 23.22 38.76 △0.34
当期損益 5.72 13.32 △1.21 △27.07

M&Aによってもたらされた果実は吉とでるか

ペッパーフードサービスは7月3日にペッパーランチ事業を、投資ファンドのJ-STAR(東京都千代田区)に85億円で売却すると発表した。もう一つの事業である、いきなり!ステーキ事業に経営資源を集中するとともに財務体質を改善するのが狙いだ。

いきなり!ステーキ事業は急激な出店に伴う同一エリア内での競合などにより業績不振に陥っていたところに、コロナ禍が直撃し業績悪化が一気に進んだ。

同社では2020年1月に第三者割当で約69億円を調達したほか、同年6月には村上真之助氏(エスフーズ代表取締役)から20億円の借り入れを行うなど再建に取り組んでおり、さらなる財務体質の強化や経営基盤の立て直しのため、業績を支える両輪の一つであったペッパーランチ事業の売却に踏み切った。

事業売却と併せて、いきなり!ステーキ、ペッパーランチ店舗114店舗を閉店し、200人の希望退職者も募集する。まさに身を縮ませコロナ禍が過ぎ去るのを耐えて待つといった姿勢だ。

新型コロナウイルス対策の切り札は何と言ってもワクチンだ。すでに臨床試験に入っている日本企業もあり、年明け早々にも医療関係者らを対象にしたワクチン投与が見込まれている。

ワクチンが多くの国民に行き渡るには1、2年の時間が必要だろうが、ここ1年ほどで状況が変わってくる可能性はある。この厳しい期間にいきなり!ステーキに経営資源を集中させ、落ち込んだ収益力をどこまで回復させることができるかが同社復活のポイントとなる。M&Aによってもたらされた果実は吉とでるだろうか。

年月ペッパーフードサービスの沿革
1985年10月 東京都墨田区に有限会社くに(現ペッパーフードサービス)を設立
1994年7月 ペッパーランチ事業を開始
1995年8月 ペッパーフードサービスに社名を変更
2006年9月 東京証券取引所マザーズに株式を上場
2009年9月 モスフードサービスからステファングリル事業を譲り受け
2014年12月 いきなり!ステーキ30店舗
2016年8月 いきなり!ステーキ100店舗
2017年5月 東京証券取引所市場第二部に変更
2017年8月 東京証券取引所市場第一部に変更
2018年2月 いきなり!ステーキ200店舗
2018年8月 いきなり!ステーキ300店舗
2018年11月 いきなり!ステーキ47都道府県に出店
2018年12月末 いきなり!ステーキ事業で397店舗、ペッパーランチ事業で470店舗
2019年2月 2018年12月期決算で最終赤字に転落
2019年12月末 いきなり!ステーキ事業で493店舗、ペッパーランチ事業で525店舗
2020年1月 第三者割当で約69億円を調達
2020年2月 2019年12月期決算で2期連続の最終赤字に
2020年3月 2020年12月期の業績予想を未定に修正
2020年6月 村上真之助氏(エスフーズ代表取締役)から20億円を借り入れ
2020年7月 米国子会社が破産を申し立て
200人の希望退職を募集
いきなり!ステーキ、ペッパーランチ店舗114店舗を閉店予定
ペッパーランチ事業の売却を発表

文:M&A Online編集部