米アップルが2020年秋以降に発売する「iPhone12」から、全モデルで有機ELディスプレーを搭載するのが確実となった。現行の「iPhone11」までは最上級モデルだけに有機ELを搭載しており、下位モデルでは液晶ディスプレーを搭載している。有機ELへの全面シフトとなると、液晶を必要とするのは値下げしてわずかに併売する現行機種の「11」と廉価モデルの「iPhone SE(第2世代)」のみとなる見通しだ。

JDIが液晶を供給する最後のモデルとなる「iPhone SE(第2世代)」(同社ホームページより)

アップルとの「取引消滅」でJDIが苦境に

スマートフォン向けのディスプレーのうち、有機ELは韓国のサムスン電子とLGディスプレー、中国のBOEなど外国企業が市場を押さえている。日本企業はジャパンディスプレイ(JDI)<6740>とシャープ<6753>が液晶ディスプレーで生き残っているが、最大口顧客であるアップル向けの供給が、ほぼ消滅することで苦境に陥りそうだ。

とりわけ深刻なのが、経営再建中のJDI。同社の2020年3月期連結決算は、売上高が5040億円(前期比20.8%減)、営業損益が385億円の赤字(前期は272億円の赤字)、経常利益が577億円の赤字(同403億円の赤字)、当期純利益が1014億円の赤字(同1066億円の赤字)に終わった。

2021年3月期はスマホや車載用機器向け部品の需要減により15~20%の減収となる見通しで、売上高は4000億円程度にとどまりそうだ。一方、リストラにより固定費は200億円ほど下がる見込みで、変動費の削減と併せて収益の底上げを図る。しかし、新型iPhoneへの液晶ディスプレー供給が全面的に停止されれば、業績はさらに下振れする可能性が高い。