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【ホンダ】有力子会社の相次ぐ売却は「EVシフトの一里塚」

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インド企業にしか売却できなかった

相次ぐ子会社売却の背景にあるのが、ホンダの電気自動車(EV)シフト。ホンダは燃料電池車(FCV)やEVの研究開発を進めており、2021年4月に三部敏宏社長が2040年までにガソリンエンジン車の生産を停止すると発表した。これまで「勝ち組」だったエンジン車からグローバルで出遅れているEVへシフトするのだから、並大抵の覚悟ではできない。エンジン車生産を支えてきた系列部品メーカーを「整理」していくのは自然な流れなのだ。

しかし、ケーヒン、ショーワ、日信工業の3社を日立系の新会社に経営統合したのに対して、創業直後から付き合いがある八千代工業がインド企業に売却されたのはなぜか?それはEVシフトの急激な加速だ。

国際エネルギー機関(IEA)の「世界EV見通し2023」によると、2022年のEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を合わせた世界の電動車販売台数合計は前年比55%増の1020万台と、ついに1000万の大台に乗った。IEAの推計では2023年にはEVの世界販売台数は同35%増の1400万台に達し、世界新車販売の20%近くを占める見通しだ。

「もはやガソリン車に未来はない」というのが、世界のコンセンサス(共通認識)になっている。日本を含む先進国市場でエンジン車の部品メーカーを引き取る企業はなくなったと見ていい。では、なぜインドなのか?同国の2022年のEV国内登録台数は同2.5倍に成長したが4万581台に留まっている。乗用車国内市場の1%程度にすぎない。

インドではバイオエタノール燃料の市場拡大が見込まれ、燃料タンクの需要は引き続き期待できる。さらに同国では新車のサンルーフ装着率が上がっており、八千代工業はインドでのサンルーフ組み立てに乗り出した。つまり、「インド企業にしか売れなかった」のが実情だ。

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