ミネベアミツミは17日、アナログ半導体メーカーのエイブリック(千葉市。売上高328億円、営業利益41億7000万円、純資産234億円)を買収すると発表した。エイブリックの親会社で70%の株式を保有する日本政策投資銀行と30%の株式を持つセイコーインスツル(千葉市)から全株式を343億9300万円で取得する。医療機器向けのアナログ半導体の拡販や、カーインフォテイメントと呼ばれる次世代車載情報通信システム市場でのシェア向上を目指す。
エイブリックは電源用IC、リチウムイオン電池保護IC、車載用EEPROM(不揮発性メモリーの一種で、書き換え可能)、医療機器用超音波イメージングICなどを中心に小型、低消費電力の高精度アナログ半導体を生産している。2015年にセイコーホールディングスグループのセイコーインスツルから半導体事業を分社し、エスアイアイ・セミコンダクタとして独立。2018年1月に共同出資相手の政投銀が持ち株比率を70%に高め、筆頭株主になったのを機に、現社名に変更した。
ミネベアはアナログ半導体を主力事業の一つとし、産業・住宅機器市場に強みを持つ。医療機器や車載機器向けに特徴のある製品群を展開するエイブリックとは足りない分野を相互補完できる製品構成であることなどから、幅広く相乗効果が期待できると判断した。
買収完了時期は2020年7月ごろを想定している。また、ミネベアは買収後のエイブリックの業績に応じて、最大15億円の追加支払いを行うことで合意している。