【海帆】M&Aで事業拡大 新しい分野への進出にも一役

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東京・秋葉原の店舗

レトロな雰囲気の居酒屋「昭和食堂」などを展開する海帆<3133>が、M&Aによる事業拡大に乗り出した。

業績が振るわなかったところに、コロナ禍が加わり、5期連続の赤字に陥っているが、M&Aによる新業態の取り込みで、経営再建を目指す作戦だ。

同社では2023年3月期を「事業拡大に向けた基盤の構築」期、翌年の2024年3月期を「事業拡大」期と定めており、この7月には「すずの邸」「鳥魚門」「桂」などのブランドで居酒屋19店舗を展開しているSSS(東京都千代田区)を、約6億3000万円を投じて子会社化したばかり。今まさにM&Aにアクセルを踏み込んだところで、SSSに続くM&Aはそう先のことではなさそうだ。

単月での黒字化目指す

海帆は2003年に名古屋市内でスタートした企業で、すぐに「なつかし処昭和食堂小幡店」を開店。その後、店舗数を増やすとともに、2019年には「立ち食い焼肉 治郎丸」を取得するなどして、業容を拡大してきた。

さらに2021年には低価格居酒屋業態の「新時代」のフランチャイズ契約を結び業態転換を進め、2022年3月末時点で11店を展開している。2023年3月期も業態転換を加速し、赤字体質から脱却し、単月での黒字化を目指す計画だ。

同社は2020年3月期に債務超過に陥っており、その後第三者割当増資などにより資金調達を行ったものの、2021年3月期は債務超過を解消することができなかった。

このため、再度の第三者割当増資などによる資金調達を実施したのに加え、業態転換した「新時代」が好調に推移したことなどから、2022年3月期に債務超過状態から抜け出せた。

この結果を踏まえて積極策に転じたわけで、第三者割当増資で得た資金の使途についても変更し、当初盛り込んでいなかったM&Aの項目を追加した。そして実施したのがSSSの子会社化だ。

SSSがプラス材料に

SSSの直近(2021年5月期)の売上高は7億6100万円で、当期利益は3700万円だった。2023年3月期の下期からSSSの業績が海帆の業績に加わることになる。同社では影響は軽微としているが、同社の2022年3月期の売上高が7億7600万円、当期損益が4億5300万円の赤字だったことを考えると、影響が軽微とは言い難い面がある。

さらにSSSと海帆は、ともに居酒屋業態を運営していることから、店舗運営や原材料の仕入れなどで共通点があり「今後多くのシナジーを発揮することが可能である」という。SSSの子会社化が海帆の収益基盤の強化に、少なからず役立つことは間違いなさそうだ。

海帆の沿革と主なM&A
2003 名古屋市内で海帆を設立
2003 名古屋市内に「なつかし処昭和食堂 小幡店」を開店
2009 広告代理業務の内製化のため、「アドハン」を吸収合併
2010 「昭和食堂」を運営していた中京ニックスから9店舗を取得
2012 「魚帆」を100%子会社化
2015 東京証券取引所マザーズ市場(現・東証グロース市場)に上場
2019 「立喰い焼肉 治郎丸」を事業譲受
2019 「海鮮個室居酒屋 葵屋 浦和店」を事業譲受
2021 低価格居酒屋業態「新時代」のフランチャイズ契約を締結
2022 居酒屋19店舗を展開している「SSS」を子会社化

M&A Online編集部

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